ニュース・コラム

欧州男子

小松直行の週刊オフチューブ

2014年2月6日(木)午前9:18

LIVE FROMのMCや欧州ツアー中継の実況を担当している小松直行アナウンサーが、ゴルフ最新ニュースをピックアップ。小松さんならでは視点からゴルフ界の最新動向をお届けします!

目次:
ジョバーグはヨハネスブルクの愛称です
世界レベルのプロを生み出す国のチカラ
歴代勝者の肖像:アンダース・ハンセン(2009年)
伝統の世界マッチプレイ、今季はイングランド開催

?ジョバーグはヨハネスブルクの愛称です:ジョバーグオープン?
今週は210人のプロによる試合。フィールドは欧ツアー最大規模。南アフリカ共和国北東部ヨハネスブルクの北の郊外にあるロイヤル・ヨハネスブルク&ケンジントンGCが舞台です。東西2コースを使います。週末の決戦コースである東コースの方は7658ヤード/パー72。欧最長コースのひとつですが、海抜1700m以上の高地にあるので、飛距離はおよそ10%増し。ポプラの木に縁取られたパークランド・コースで起伏は緩やかですが、手ごわいキクユ芝をはじめ自生の芝がラフで待ち受けています。東コースの設計はクラブプロだったボブ・グリムズデル設計、1935年開場。グリムズデルはダーバンCC、ロイヤルダーバンGC、プレトリアCCなども設計しています。コースの長さ、ドッグレッグ、アンジュレーションのあるグリーンが特徴的。コースガイドに、「10番と11番ホールをまず歩いてみれば、東コースがどんなコースかわかる」と書かれています。ともにパー4である10番は518ヤード、11番は500ヤードある名物ホールです。

この試合は2007年に始まり、初代チャンピオンはアルゼンチンのアリエル・カネテ。当時31歳だったカネテは前年に成績を出せずツアーカードを失い、Qスクールで取り戻そうとしましたが失敗。「アルゼンチンにいて、何もすることがなかった。いっちょ、南アに行って、やってみるかと考えた」というカネテは、年間出件のない状態で2007年最初の試合だったこの試合に出て優勝し、実質的に3年間のシード権を確保。まさに「新春ドリームジャンボ」トーナメントとなりました。その後は地元シュワーツェルが連覇達成(2010年、11年)、去年はリチャード・スターニーが強直性脊椎炎を克服して復活優勝で大会2勝目(2008年、13年)。ふたりともに今週はハットトリックを狙います。

 【ジョバーグオープン 放送日時】
 1日目:2月6日(木)午後11:00?深夜1:00
 2日目:2月7日(金)午後11:00?深夜1:00
 3日目:2月8日(土)午後11:00?深夜1:00
 最終日:2月9日(日)午後11:00?深夜1:00(最大延長深夜2:00)

 

* シュワーツェル対スターニーの優勝争いが実現すると見ごたえありますね。3週間お休みを取っていたシュワーツェルは「心理面でリフレッシュできて、やる気まんまん」と言ってましたが、アルバロ・キロスの名を上げて「もしまっすぐ飛ばせれば、飛距離の出るキロスがくるのでは」とも言っていました。去年、そのシュワーツェルに7打差圧勝のスターニーは「コースが好きで、自分にあってる。自分がディフェンディングチャンピオンだというのは気分がいいが、すべては振り出しだ。去年のことは関係ない」。例年通り今季もここまでアフリカでの試合はアフリカ勢強し。今週もブランデン・グレイス(2012年優勝)、トーマス・エイケンはじめ、猛者たちが勢ぞろいして、欧州勢を迎え撃ちます。

 

?世界レベルのプロを生み出す国のチカラは豪が断トツ!?
アダム・スコット世界ランキングは、米、欧、日本、豪、南ア、アジアの各主要ツアーと、それらの下位ツアーであるウエブドットコムツアー、PGAラテンアメリカツアー、PGAカナダツアー、PGAチャイナツアー、欧チャレンジツアー、アジア・デベロップメントツアー、ワンアジアツアー、韓国ツアーの公式戦に出場したプレイヤーが上位入賞した際に獲得する世界ランキングポイントによって算出されます。その時点で過去2年間に獲得したポイントがもとになるので、順位は週変わり。今週月曜日時点では1507人が世界ランキングポイントを持っています。過去2年間の獲得がゼロなら、それ以前にいかに稼いでいてもランキングは“圏外”になってしまいます。2016年のオリンピック出場選手を決めるのもこの世界ランキングなので、今年からの獲得ポイントがものをいうことになります。

各試合で獲得できるポイントには、そのツアーの強さに応じてすでに基準が設定されています。さらに、その試合に出場するプレイヤーの、その時点での世界ランキング順位に応じて上乗せされるようになっていますので、強いツアーの試合、強いプレイヤーが出ている試合でいい成績を出せばポイントをより多く稼げるわけです。順位には現在の好成績が繁栄されるように、2年前から現時点にいたるまでの獲得ポイントを時系列で減衰させて計算します。

表は現時点で世界ランキングを有するプレイヤーを国別に見て、その国の総人口における割合を比較したもの。アメリカは全体の27%を超える世界ランキング保有者を生み出しています。続いてオーストラリアが11%。実数で世界第2位の輩出国であるオーストラリアは、総人口2300万人弱。その国の総人口から見ると、世界ランキング保有者輩出率はナンバーワンです。その国の総人口から見れば、オーストラリアはアメリカの5.6倍、日本の10倍近い輩出力を示しているというわけです。今週の舞台になる南アフリカも日本の約3倍、米1.7倍。ちなみに大陸欧州ではスウェーデンが断トツ。日本の約5.7倍。米の約3.3倍。

オーストラリア、スコットランド、アイルランド、スウェーデンは国策としてプロを養成しています。アマチュアとの垣根を取り払い、エリート競技者の育成に公的資金を投入し、競技力向上のためのさまざまな仕組みをつくっています。練習環境の整備、プロとアマチュア、そして男女を問わない競技会の設定、駆け出しのプロへの資金援助など、各国が特徴ある制度をつくっており、すでにオリンピックへ向けて選手育成のための基盤は出来上がっていると言えるでしょう。

WRを有するゴルファーを生み出す力(2014年第5週:2月2日付)
豪は国民14万人弱に一人の割合。
豪が世界レベル・ゴルファーを生み出す力はアメリカの5.6倍。日本の9.7倍!

 

歴代優勝者の肖像:アンダース・ハンセン
(2009年1月11日、ジョバーグ・オープン, 71-68-64-66=269)

『 勝 算 』
アンダース・ハンセン「・・・試合をリードしているのが優勝することに慣れているようなプレイヤーじゃないのは知っていたので、そのまま逃げ切られるとは思わなかった。二日目も三日目もトップは11アンダーのままで、私はかなり好調で7アンダーで回って、わずか1打差できょうを迎えたので、いけると思っていた」

 デンマークのアンダース・ハンセンは、メディアの質問に対していつも、率直に語ります。媚びない、と言った方が当たっているかもしれません。ありきたりの社交辞令的なコメントをしないのは、キャリア2勝目をあげたときも同じでした。初優勝と2勝めはBMW・PGAチャンピオンシップ。欧ツアーが本拠を置くロンドンのウエントワースでの、欧州ツアーの旗艦イベントでの2勝。勝てば5年間の出場権の与えられるその準メジャー的試合に、アンダース・ハンセンは5年の間隔で勝っています。

2009年1月のジョバーグオープンで3勝目をものにして「一番うれしい点は他の場所で勝てたことだ」と言ったのには本心もあるでしょうが、したたかさの方が印象に残ります。初日の出だしがダブルボギー、ボギー。「俺は何やってんだ?」と思ったといいます。前週末にチューリッヒの自宅でスキーをして、翌日、南アフリカへ飛んで来ての新年最初の試合。いきなり2ホールで3つ落としては、出ばなをくじかれた格好です。しかし、同時に気付薬にもなったようで、そのあと、レベルパーの71に戻して終えられましたが、ファーストラウンドのトップは63で、8打差がついていました。

結果的にここから勝つのですから、始まりが悪くても諦めてはいけない、ということの成功例として納得してもいいでしょう。しかし、この教訓はもう少し現実的な、プロの思考に裏打ちされていることが、冒頭のコメントでわかります。

ジョバーグオープンは初めに2つの異なるコースを回ります。セカンドラウンドは易しい方のコースなので、ハーフウエイカットはクリアできるだろうとハンセンは計算し、その上で、三日目にもいい数字を出さなくてはならないと考えました。

二日目を終えても首位から8打差は変わりませんでした。前日と違って最初の6ホールで5バーディーの好スタートながら、その勢いは続きませんでした。そのことが、やらなければならないことをはっきりさせた、とハンセンは言ました。三日目には8バーディー、1ボギーの64。首位と1打差によじ登ります。

15アンダーを優勝スコアだと想定していたとハンセンは明かしました。最終日に最終組の一つ前でプレイし、前半に5つのバーディーをものにしてその数字に達すると、バックナインでは守りに入ったように見えましたが、自身はあと2ストローク伸ばせば追いつかれることはないと計算して、攻めたといいます。実際には一つボギーが来て、なかなかとり戻せなかったのですが、最終ホール、パー5。狙いすました2打でグリーンを捉えてバーディーであがり、1打差で勝ちました。

去年は慢性的に痛みのあった手の問題で夏には手術もしましたが、10月のポルトガルマスターズ以降はお休みを取っています。詳しい事情は不明で、今週も出場しません。43歳。デンマークからは続々若手も出てきていますが、アンダース・ハンセンはある種のプロらしさを感じさせるベテランとして、まだまだこれからを期待したいところです。 (小松直行)

 

?小松の小耳?
・世界マッチプレイ選手権はイングランド開催:今年50周年記念大会となるボルボ・ワールドマッチプレイ・チャンピオンシップ(16人フィールド、賞金総額225万ユーロ)が、今年はイングランドのロンドンゴルフクラブで開催される。水曜日に発表された。1964年の第一回以来、ロンドン近郊のウエントワースで開催されていたこの試合は、秋のロンドンでの風物詩的な伝統の一戦だったが、2009年から舞台をスペインに移し、開催時期も5月になっていた。去年は欧ツアーとして初めてブルガリアに乗り込んで開催されていたが、7年ぶりに10月のイングランドへ戻る。舞台のロンドンGCはロンドン市外から南西40km(約1時間)、鉄道でも車でも便利。大きなイベントを想定して造られたコースはジャック・二クラス設計、1994年開場。起伏ある土地を活かして全ホールに「自然の観客席」がある。F1イギリスGPの開催されていたブランズ・ハッチが隣接している。今季は9月後半になってウエールズオープン、スコットランドでのライダーカップ、アルフレッド・ダンヒル選手権と続き、ポルトガルマスターズをはさんで世界マッチプレイ、というスケジュールとなった。

<資料:http://www.bbc.com/sport/0/golf/>

[画像は全て©Getty Images]

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