【2009年全米アマを制したアン・ビョンホン（写真提供：Getty Images）】

順風満帆に見えたアンのゴルフ人生だが、驚くのはプロ転向後のキャリアだ。

大学へ進学したアンは2011年にプロ転向すると、ピーター・ユーラインの父助言でユーラインの後を追うように欧州へ。3年間、欧州チャレンジツアー（下部ツアー）で戦い、昨年8月の「ロレックストロフィー」では欧州チャレンジツアー史上初となる韓国人優勝者となった。2014年のチャレンジツアーランキング3位で今年の欧州ツアーシード権を獲得したアンは、「ヨハネスブルグオープン」で7位タイ、「ボルボチャイナオープン」で8位タイに入るなどルーキーとして好成績を残すなどツアー初優勝が期待されていた。

世界ランキング132位のアンだったが、今大会は欧州ツアーのフラグシップトーナメントということもあり、優勝者には64ポイント加算され、獲得ポイントは126.10となりワールドランキングは50位以内までジャンプアップする見込み。同週に開催されていた「クラウンプラザインビテーショナル」の優勝者が48ポイントであることからも、その大会の大きさがわかる。

また、今大会の優勝により、欧州ツアーの5年シード、全英オープン出場権を手にすることになる。世界ランキングが50位以内となれば全米オープンや全米プロゴルフ選手権など海外メジャーへの出場も見えてくる。

それ以上にアンにとってのビッグボーナスは10月に地元韓国で開催される米国選抜vs世界選抜「ザ・プレジデンツカップ」への出場に近づいたことかもしれない。世界ランキングを元にしたポイントランキングで10名が自動選出される。「BMW PGAチャンピオンシップ」開催前はランク31位だったが、今回の優勝で10位圏内に入ってくる可能性もある。同い年の松山英樹と世界選抜でチームを組む日がやってくるかもしれない。

今季の欧州ツアーではアジア勢の活躍が目立つ。アジアンツアーとの共催試合でもあるが、「メイバンク・マレーシアオープン」と「ヒーローインディアンオープン」ではインドのラヒリが優勝し世界ランキングを大きく上げた。また、JGTOメンバーでもあるK.アフィバーンラトは「深センインターナショナル」で欧州ツアー2勝目、呉阿順は「ボルボ中国オープン」で欧州ツアー初優勝を飾っている。

「関西オープン」でツアー初優勝を飾った片岡大育も国内シード権が取れない時期にアジアンツアーで奮闘していた。また、2013年の「アジアパシフィック パナソニックオープン」で優勝した川村昌弘は昨年、アジアと欧州ツアーを転戦した。

これまで海外挑戦と言えば"PGAツアー"とされていたが、3年間欧州の下部ツアーで力をつけた韓国のアン・ビョンホンのように、日本のプロゴルファーにとっても欧州ツアーから世界へ羽ばたく道も選択肢としてあるかもしれない。

今後の欧州ツアーに注目したい。

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