ルール規制まであと半年。 長尺パター選手の動向は?
2012年10月16日(火)午前9:50
クラブのアンカリング(固定)の禁止を来年にひかえ、長尺・中尺パターをお腹に固定して打っていたプロの動向が注目されています。
過去4勝がすべて長尺パターだった吉田弓美子プロは、今年から通常の長さのパターにトライ。先日の「中京テレビ・ブリヂストンレディス」で優勝しました。翌週の「リゾートトラストレディース」でも3位に入るなど、通常の長さのパターに適応しつつあるようです。
同じく「リゾートトラストレディース」で5位と健闘した大江香織プロも長尺プレーヤー。来年のルール改正を見据え、少しづつパターのシャフトを短くしつつ、アンカリングしない打ち方も試しているといいます。
今回はそんな長尺パターと来年のルール改正について紹介します。
2016年からアンカリング禁止
ゴルフ規則の中に打ち方に関する条文があるのはご存知でしょうか?
規則14 球の打ち方
14-1 球は正しく打つこと
プレーヤーは球をクラブのヘッドで正しく打たなければならず、押し出したり、掻き寄せたり、すくい上げてはならない。
そして2016年からこの条文に、新しく1節が付け加えられることになりました。
14-1b クラブのアンカリング(クラブを固定すること)
ストロークを行うとき、プレーヤーは「直接的に」クラブをアンカー(固定)してはならないし、あるいは「アンカーポイント(固定点)」を用いることによって、クラブをアンカー(固定)してはならない。
中尺・長尺パターの使用禁止ととらえているゴルファーは少なくありませんが、来年から適用されるこのルールは、長尺パターの規制ではなく、胸などに固定して打つ「打ち方」の規制です。
長尺パターのメリット
長いゴルフの歴史で長尺パターが使われたのは、アメリカのシニアプロが使用し始めたこの30年ほどしかありません。 最初はこれまでにない形状ということで、特異な目で見られたものですが、使用するメリットが多いため、現在はシニア以外の若い層のゴルファーや一般的なアマチュアゴルファーにも好んで使われるケースが増えました。
長尺のメリットは、なんといってもイップス対策です。
パッティング、特にショートパットに深刻な弊害をもたらすイップス。トッププロも悩まされるパッティングの病気ですが、長尺パターは、慣性モーメントが非常に大きく、またアンカリングによって胸などで支点を固定できるので、手先の敏感な筋肉を使わなくてもスムーズにストロークが可能になります。
長尺によってイップスを克服し、選手として大きな成果を上げた選手は少なくありません。
ドイツのベルンハルト・ランガーをはじめ、国内では永久シード選手の中嶋常幸プロや尾崎直道プロが代表格です。
イップス対策のほか、前傾を浅くできるので視界が広くなり、また腰の負担が少ないこともメリットです。
ツアープロは毎日何時間もパターの練習に費やします。彼らは1時間でも2時間でも納得するまでパッティンググリーンで練習を行います。腰の負担が減ることで、より長い時間パターの練習をしていることができるのです。
長尺・中尺プレーヤーがツアーで活躍
冒頭に記したように、最近はシニアやイップスの選手にとどまらず、若手選手も積極的にシャフトの長いパターをアンカリングで使用するようになりました。
2011年の全米プロでキーガン・ブラッドリーが中尺パターで優勝。長尺・中尺を手にしたはじめてのメジャーチャンピオンとなりました。2012年は全米オープンのウェブ・シンプソン、全英オープンのアーニー・エルスも中尺パターで優勝します。2013年にはマスターズをアダム・スコットが長尺パターで制し、すべてのメジャーで勝利者が誕生しました。
かつては、”長尺パターはメジャーに勝てない”というジンクスもありましたが、これだけ長尺・中尺のメジャー勝利が重なったことで、これらのパターの是非が論じられるようになりました。その結果、パターではなくアンカリングという「打ち方」の禁止へとつながったのです。
もし、今後イップス病にかかったら?
ルール施行は来年2016年1月1日から。まだ半年ほどの猶予があります。この期間を利用して、短いパターを試すもよし、禁止になるまで使い続ける方法もあります。
マスターズチャンピオンのアダム・スコットは、通常の長さのパターを試しながらも、結局長尺に戻すなど、対応に苦慮しています。おそらく期間ぎりぎりまでこうした試行錯誤が続けられるのでしょう。
長尺・中尺パターを胸やお腹につけないで使う、アンカリングせずに使う方法も試されているようです。支点を固定するメリットは失われますが、長尺や中尺のメリットである慣性モーメントが大きくヘッドがぶれにくい利点をこの方法なら活かせます。ショートパットが入る確率も高まるはずです。
また、ここ最近アンカリングに代わるものとして、カウンターバランスのパターが増えてきました。
大きく太いグリップを装着して手元よりの重量を増やすというアイディアです。中にはグリップエンドにウエイトを仕込んでカウンターバランスにしているものもあります。
手元側が重たくなることで、テークバックを行いやすくし、イップスの防止になるものです。
ある道具、ある打ち方が規制されたとしても、それに代わるアイデアというのは次々と生まれ出てきます。
トーナメント中継で、長尺・中尺パターを使ったいた名手がどのような対応をするのか、今後の見どころのひとつになるでしょう。
アンカリング規制をきっかけに、通常の長さのパターを使っている方も、自分のパッティングスタイルを見直してみるといいかもしれませんね。
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