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国内男子

国内男子ツアーの将来像とは?

2015年6月27日(土)午前6:00

ゴルフ人口の減少、トーナメントの人気低迷、ゴルフ用品の売上低下、2020年東京五輪に向けてなど、多くの問題を抱えるゴルフ業界。

株式会社ゴルフダイジェスト社代表取締役社長 木村玄一、株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン代表取締役社長 石坂信也、株式会社ゴルフパートナー代表取締役社長 石田純哉、株式会社ALBA代表取締役社長 島崎陽、ジュピターゴルフネットワーク株式会社代表取締役社長 石井政士、(敬称略)の5人が発起人となり、「もっと良く、もっと盛り上がるゴルフ業界を目指して」をキャッチフレーズに2014年10月14日、東京都内にて「第1回日本ゴルフビジネスフォーラム」が開催されました。

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ゴルフ協会団体、ゴルフメーカー、メディア等の代表者が一同に介して活発な議論が行われた本フォーラム。

その中から今回は「国内男子ツアーの将来像」についてご紹介します。

1983年には46試合開催されていた国内男子ツアー

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ツアー制度施工の1973年以降、ピーク時には年間46試合が開催されていた国内男子ツアー。2008年、彗星のごとく現れた石川遼の活躍・人気に後押しされTV視聴率、ギャラリー数はいずれも増加。翌年に最年少で賞金王に輝いた石川人気に支えられゴルフ中継は年間9.6%と高視聴率を記録。ギャラリー数も2010年、年間60万人とそれまでの数字を大幅に超えました。しかしながら、それ以降ギャラリー数、年間視聴率は減少。1983年に46試合あったトーナメントは徐々に減り、今年度は25試合。賞金総額は、1993年の41億8500万円をピークにそれぞれ減少しています。

JGTO理事の山中博史氏は「1999年にJGTOが発足してから現在までを改めて振り返ってみると、スポンサーに目を向け過ぎて、ファンに支えられるトーナメントということを忘れてしまっていた。」と話した上で、「大会を主催する資金力がなく、TVの放送権も持っていないJGTOにどのような解説策があるのか日々検討を重ねているが、アジア展開や競技体系、TV中継を含め抜本的な構造改革が必要。」と危機感を露にしました。

選手代表として登壇した横田真一プロは、「選手も皆、危機感を感じながらそれぞれが頑張ってやっているが、ツアーの活性化にはやはりスター選手が必要。青木さんやジャンボさん、中嶋さん、倉本さんの時代はゴルフが人気スポーツだった。」と話す一方で、時代背景の変化も指摘。「一時は1,500万人いたゴルフ人口も800万人近くまで減少している。一人当たりのラウンド回数は増えているのでマニア化しているとも言える。もっと初心者でも楽しめるような、ゴルフが身近に感じる文化を作っていく必要がある。」と意見。

アメリカとの違い

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世界に目を向けるとアメリカPGAツアーは年間41試合を開催。賞金総額は年間300億円規模にも及ぶ。2008年シーズンからは流通大手FedExをタイトルスポンサーに迎え、ポイントランク上位125名でのプレーオフを開催し、シーズン最後までゴルフファンを引き付けています。また「フェニックスオープン」は日本の年間ギャラリー数に匹敵する50万人以上を1大会で動員。地域密着で60年以上続く大会もあれば、“ショービジネス"と言わんばかりの派手な演出も用意されています。PGAツアーはティム・フィンチェムコミッショナーのもと、TV放映権収入、スポンサー収入、チケットインカムなどの大きな収益金を運用し、選手年金や各団体への寄付、ギャラリーサービスなどに投資。選手、ファン、スポンサー、メディアの4者が、バランスのとれたビジネスモデルを形成しています。

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「HEIWA・PGM CHAMPIONSHIP in 霞ヶ浦 」を開催するPGM取締役の神田有宏氏は、「アメリカと決定的な差がついたのはこの5?6年。アメリカはプレーオフ最終戦で優勝すると10億円。なぜここまでの差がついたのか?一つの興行として見た時にコンテンツバリューの差だと思う。トーナメントをスポンサードするには、賞金以外にも莫大な費用がかかる。それを実行するには当然、株主からは費用対効果を求められる。コンテンツバリューを上げるにはトーナメントをどこに発信するのかが重要。アジアを含めたグローバル展開が実現すればスポンサーの考え方も変わってくる。」と指摘。

また、日本プロゴルフ協会会長の倉本昌弘氏は、「PGAツアーでは選手会のミーティングに必ずコミッショナーのティム・フィンチェムが出席して、選手からいろんな意見を叩き付けられる。それでも彼は最後に、“私は選手のために働いている、私は君たちから雇われている"と語りかける。日本もJGTOがリクスを追って、テレビ放映権などコンテンツのオールライツを取り、そたのために資金調達を行う必要がある。」とJGTOへ提言する場面も。

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PGAツアーコミッショナーのティム・フィンチェム氏

トーナメントを開催するためには

トーナメント数の減少が問題視される中、「コンテンツバリューを上げるためにはコストがかかる」という費用対効果のためのコスト削減についても議論されました。

日本プロゴルフ協会の倉本会長は日本プロゴルフ協会主催試合を例に挙げて、トーナメント開催における問題について話をされました。

「スポンサーを集めるにあたって、日本は権利関係が非常に複雑。協会側は肖像権を持っているがTV放送権がない。主催者側には肖像権の代わりが賞金という理解もある。賞金以外にもTV制作費や運営費用など様々なコストがかかる。また、賞金だけ安くしても大会の経費はそれほど変わらない。ギャラリーバスなどの運送費や駐車場代、仮設トイレなど、多くの運営費がかかる。日本のコースの場合、1万人以上ギャラリーを入れるとかえって赤字になることもある。ギャラリーを多く収容するためにはコース選定も一つの課題。」

テレビ中継の在り方

トーナメントの活性化に向けて、テレビ中継の在り方についても議論されました。昨今はBSやCS、インターネットでの生中継が増加傾向にある中、日本テレビの新井直彦氏は、「テレビ局としても生中継をやりたい気持ちはあるが、日本のゴルフ中継はスポンサーからの費用負担で成り立っている。人気選手が下位に順位を落とした場合などLIVEでは結果に左右されて、かえって視聴率が落ちて結果的にスポンサーがつかなくなるリスクもある。現在、地上波各局では地上波×BS×CSの三波体制を組み合わせて出来るだけ長時間かつ生中継で出来るように取り組んでいる。」とテレビ局側が抱える問題点も明らかにされました。

地域密着のトーナメントを

暗い話が続く中、最後には今後に向けた建設的な意見も出ました。

JGTO山中氏は「ツアーと言っても全国のエリアでみると今は関東、関西、中部に集中しているが、岩手県オープンやチャレンジツアーの秋田での試合などを見ているとギャラリーの方の反響は大きい。プロのプレーをなかなか見ることの出来ないエリアもあるので、そういった地域と連携した全国巡業ツアーをJGTO主導で年間10試合程度組むことを考えている。1試合の賞金総額が5,000万円として、この取り組みに賛同してくれるスポンサーを探している。LCCのように、チケットは無料だけどバスは有料にするとか、ゴルフファンそれぞれのニーズに合ったサービス提供も考えていきたい。」

日本プロゴルフ協会の倉本氏からも同様の提案がありました。

「一つのトーナメント会場で完結するのではなく、開催地付近の街中でマラソン大会やコンサートなど地域密着型のトーナメントを目指して、ゴルフが町おこしに繋がるような取り組みもしていきたい。そうすれば、これまでゴルフに興味が無かった若い世代の人にもゴルフに触れてもらうことができる。」

サッカー(Jリーグ)やプロ野球を見ても、今やスポーツと地域密着(地域振興)は密接な関係にあると言えます。

様々な問題を抱えるゴルフ業界ではありますが、「アジアを含めたツアーのグローバル化」、「協会と選手の関係強化」、「地域密着によるミニツアーや地方ツアーなどの拡充」、「トーナメント中継のLIVE化」、「ジュニア育成とスター選手の発掘」など、多くの建設的なアイデアも出ました。

今回のように関係者が一同に介して議論したことをきっかけに、少しでもゴルフ界の活性化に繋げることが我々メディアに求められていることでもあります。

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