打ち上げが14ホールもある今年の全米女子オープン開催コースとは?
2015年7月20日(月)午後4:23
米国ペンシルバニア州のランカスターCCで現地時間7月9日(木)に開幕する「全米女子オープン」。
日本勢では昨年大会で7位タイに入った横峯さくらをはじめ、米国予選会で出場権を獲得した宮里美香に加え米ツアーを主戦場とする上原彩子、野村敏京らが出場。また、国内ツアー組では昨年の賞金ランキング5位以上の資格で成田美寿々、日本予選会を勝ち抜いた鈴木愛、菊地絵理香、穴井詩、松森彩夏、葭葉ルミ、アマチュアの山口すず夏ら7名が参戦。このほか、米下部ツアーを主戦場とする日本出身の森田遥が米国予選会を突破し出場。女子メジャーの中でも最難関のコースセッティングと言われる全米女子オープンに挑戦します。
昨年はミッシェル・ウィーが通算2アンダー、大会唯一のアンダーパーで自身初のメジャー制覇を成し遂げました。ここ数年は2011年リュー・ソヨン、2012年チェ・ナヨン、2013年の朴仁妃と韓国勢の連覇が続いていましたが、2010年のポーラ・クリーマー以来4年ぶりに、ウィーが米国に全米女子オープンのタイトルをもたらしました。
(写真提供:Getty Images)
年間5大会開催される海外女子メジャーですが、今年は4月のANAインスピレーションでブリタニー・リンシコム(米)がステイシー・ルイスとのプレーオフを制して優勝、続く6月のKPMG女子PGA選手権では朴仁妃(韓)が史上2人目となる同一メジャー大会3連覇の快挙を成し遂げました。
キム・セヨン(22歳)、リディア・コー(18歳)、キム・ヒョージュ(19歳)、ミンジー・リー(19歳)ら若手選手が活躍を見せている今季の米LPGAツアー。海外メジャーの舞台でどんなプレーを見せるのか注目が集まります。
開幕を前に、ゴルフネットワークで今大会の解説を務めるアンディー和田氏が開催コースのランカスターCCを取材。コースの特徴や今大会の見所について紹介します。
過去最高の1,873人がエントリー
(写真提供:Getty Images)
USGAの話では今大会には過去最高となる1,873人がエントリー。日本、英国、韓国、中国など世界各地で開催された予選会25会場から勝ち上がった選手に予選免除のシード選手を加えた合計156人のフィールドに。
女子プロのメジャー競技は5つありますが「最高峰の試合はやはりU.S. Women’s Open」と多くの選手が口にします。毎年開催コースは変わりますが過去10年間で優勝スコアは2桁アンダーになった大会はなく、厳しいコースセッティングとなっています。今年も雨の影響でグリーンが柔らかくならない限りはバーディ合戦とはならないでしょう。粘り強くパーを重ねて最終日のバックナインまで優勝争いに残る忍耐力が必要になってきます。もちろん日本人選手もボギーの数を最小限に抑えていけば十分にチャンスはあります。メジャー競技で与えられる世界ランキングのポイントは国内女子ツアーの約5倍となるだけに、ここで上位に絡むと来年のリオオリンピックに向けてワールドランキングを上げることにもなります。
18ホール中、14ホールが打ち上げ!?
【落としどころが見えないセカンドショットの打ち上げがポイントになる】
開催コースのランカスターCCはモダンタイプではなく、歴史あるクラシックな林間コースです。特徴はグリーンに向かって打ち上げていくホールが14ホールあることです。そのため、ピンの根元が見えない状況で正しい距離感で打っていく技術が要求されます。
全長は6,460ヤードのパー70となりますが、USGA競技委員長のキンボル氏によると「打ち上げのホールが多いので各選手はスコアカード上の距離よりも長く感じるだろう。特に8番パー3から11番までの4ホールと最終18番437ヤード、打ち上げのパー4は難しいホールになるだろう。」と実際のヤーデージ以上の難しさがあるとコメント。
実際にコースでプレーしてみると、若干沈む洋芝(ベント芝)からグリーンに向かって打ち上げのショットはボールの高さが要求されるので難しいです。また、ティーショットのランディングエリアはつま先上がりやつま先下がりのライも多く、グリーンに向かって打っていくアイアンショットをどう対応していくかが見所です。グリーン奥に外してしまった時やグリーン上でピンとの間にスペースがない方へ外してしまった時は深いラフからロブショットを打つ技術も要求され、パーセーブも難しくなります。
パー5は2ホール、USGAのコースセッティングに注目
【ワンオンなセッティングとなる可能性のある16番パー4】
先日開催された全米オープンではUSGAのコースセッティングが話題となりましたが、今回の全米女子オープンでは左右のドッグレッグのホールが多く、パー5が2ホールしかないため、必ずしもロングヒッターが有利とは言えません。
その中でもキーホールとなるのが、打ち下ろしの12番、16番のパー4。
12番はグリーン手前に池があり、奥にはバンカーが配置されています。グリーンの奥行きはわずかに22ヤードと非常に小さくて、さらに奥から手前への傾斜がきつくて難しいホールです。また、USGAによると「左ドッグレッグの16番パー4はティーを前に出してワンオンも狙えるセッティングにする可能性がある。」ということで、イーグルもある一発逆転を秘めたバックナインのキーホールになるでしょう。
【グリーンの奥行きがない打ち下ろしの12番パー3】
打ち上げのホールが多く、ボールコントロールの技術はもちろん、傾斜の強いグリーン上での繊細なタッチが要求されるコースとなるとやはり本命は朴仁妃になるでしょう。絶妙な距離感で下りのパットを寄せるパッティング技術は男子プロの中に入っても遜色なくトップクラスに入ります。もちろん母国のナショナルオープンへの思い入れという意味ではステーシー・ルイスも注目ですし、リディア・コーを筆頭に昨年大会で上位に絡んだミンジー・リー(豪)やブルック・ヘンダーソン(カナダ)らティーンエイジャーの勢いはこのランカスターCCでも存在感を表すことは間違いないです。
(記事:アンディ和田)
7/9(木)開幕!全米女子オープンゴルフ選手権全ラウンド生中継
海外女子メジャー第3戦「全米女子オープンゴルフ選手権」今年の開催地ランカスターCCは、1900年に設立されたペンシルバニア州随一のプライベートクラブ。日本勢悲願のタイトルへ向け、今年もなでしこ達が世界に挑戦する。
※注意※
権利上の都合により、GOLF NETWORK PLUS TV等での、パソコン・スマホ・タブレットによる「全米オープンゴルフ選手権」の配信はございませんのでご了承ください。