ポッドバンカーに要注意、距離の短いセントアンドリュースは飛ばない選手が有利?
2015年9月4日(金)午後1:00
いよいよ7/16(木)に迫った全英オープンゴルフ選手権。5年ぶりにゴルフの聖地“セントアンドリュース"で開催されるとあって開幕前から盛り上がりを見せている全英オープン。ゴルフファンの間で話題となるのが優勝予想でしょう。そこで今回はゴルフネットワークで中継の解説を務めるタケ小山プロがズバリ優勝予想!セントアンドリュースに有利な選手とは?
あなたの優勝予想は?みんなのパワーランキングも投票受付中です。タケ小山プロの解説コメントを参考にぜひ投票下さい!
ゴルフの聖地セントアンドリュースでクラレットジャグを掴むのは果たして!?
大会初日は7/16(木)夕方5時から11時間に渡り生中継!注目の松山英樹は中継開始直後の夕方5時33分ティーオフ!
(写真提供:Getty Images)
距離の短いセントアンドリュースはビッグスコアが出る!?
優勝予想を前に過去のチャンピオンをおさらいしましょう。
【過去5年間の全英OP優勝者】
2014年 R.マキロイ(-17)
2013年 P.ミケルソン(-3)
2012年 E.エルス(-7)
2011年 D.クラーク(-5)
2010年 L.ウーストヘイゼン(-16)
過去5年間の優勝者を見るとアメリカ1名、北アイルランド2名のほか、南アフリカ勢が2名と躍進を見せている近年。優勝スコアも昨年のローリー・マキロイの17アンダーなどビッグスコアも出ています。
また、5年に一度セントアンドリュースで開催される全英オープン。過去に同コースで開催された歴代優勝者を見ると2000年、2005年に優勝しているタイガー・ウッズの強さが目立ちます。また、1995年のJ.デイリーを除くと全て10アンダー二桁以上のビッグスコアでの優勝となっています。
【セントアンドリュース優勝者】
2010年 L.ウーストハイゼン(-16)
2005年 T.ウッズ(-14)
2000年 T.ウッズ(-19)
1995年 J.デイリー(-6)
1990年 N.ファルド(-18)
セントアンドリュースの特徴とは?どんな選手が有利になるのでしょうか?タケ小山プロにお伺いしました。
セントアンドリュースは7,297ヤードとメジャー大会の中では距離の短いコース。タイガーが勝った時もティーショットでアイアンを使うことが多かった。飛距離の出る選手はドライバーを使わないことも多いと思うので飛ばない人が有利になります。
それ以上に無数にあるバンカーに入れないことです。バンカーに入れば1打罰と同じ。バンカーに入れないボールコントロールと、凹凸のあるフェアウェイやグリーンを回りをどのようにして攻略し、止めていくかが重要。こぶを越えていくボールを打つのか、転がして寄せるのか、空中ではなくグラウンドを使ってイマジネーションが必要です。80ヤード以上も転がるところなので、ゴルフの酸いも甘いも知っているC.モンゴメリーやD.クラーク、M.A.ヒメネス、J.フューリックらベテラン選手にもチャンスがあります。
まさに“ゴルフの原点"、それがセントアンドリュースなのです。
(写真提供:Getty Images)
そういう意味では欧州勢は有利と言えるでしょう。
欧州ツアーの「アルフレッド・ダンヒル・リンクス選手権」は予選3日間をセントアンドリュース・オールドコース/カーヌスティ/キングスバーンズ (スコットランド)で行い、最終日にもう一度セントアンドリュースで18ホールを戦います。
昨年10月の本大会ではR.マキロイが2位タイ、L.ウーストハイゼンが6位タイに入っています。また、ウーストハイゼンと同じ南アフリカ出身のB.グレースは2012年の同大会で優勝するなど、ウーストハイゼンとグレースの南アフリカコンビはセントアンドリュースで数多くプレーしているし、ボールの転がりをよくわかっていて、地の利があるプレーヤーです。
タケ小山のパワーランキング
優勝予想で名前を挙げるときりがないですが、そのくらい今年の全英オープンは豪華フィールドです。その中でも優勝候補と言われれば、この6人でしょう。
1位 ジョーダン・スピース(米国)
世界ランキング 2位
今年のマスターズと全米オープンとメジャー二連勝を飾り、先週の「ジョンディアクラシック」でも優勝。ドライバーから3番ウッド、ロングアイアンまでティーショットはオールマイティに打てる選手。自分が狙ったところに打っていける、ボールコントロールも世界No.1と言って良いでしょう。横の曲がり幅はどの選手もそれほど変わりませんが、縦の距離感がずば抜けて良いのがスピースの強み。
どこかのホールでグリーンをオーバーしたり、ティーショットがひと転がりしてバンカーやラフに入ったりすることがない。常に冷静で計算されたプレーは見ていてつまらなく感じるほど安定感があります。6月の全米オープンが硬くて転がりが予測不能の中、優勝したのは縦の距離感が良かったからです。加えてパターも良いので全く隙が無い、文句無しの優勝候補筆頭です。
2位 タイガー・ウッズ(米国)
世界ランキング 241位
誰よりもコースを熟知しているのはタイガーでしょう。2000年、2005年と優勝し、アメリカも含めて最も得意なコースと言えるのではないでしょうか。2005年に勝った時はバンカーに入れないことが四日間の目標と話していましたが、当時より今の方が飛距離が落ちていると思うので、かえってボールがコントロールしやすいかもしれません。デリケートなアプローチも必要無いし、あとはパッティング。風も強いのでスティンプメーターも10や11にできないと思うので、タイガーのパッティングが復活するならここしかない!全米オープンやメモリアルではびっくりするくらいの大叩きしていますが、試合勘が戻れば優勝の可能性も。
3位 ジェイソン・デイ(オーストラリア)
世界ランキング 9位
ツアー屈指の飛ばし屋と言えばB.ワトソン、D.ジョンソン、R.マキロイ、J.デイの4人が代表的ですが、その中でもゴルフのスイングが一番安定していて曲がらないのがJ.デイ。今シーズンの平均飛距離309Yはツアー4位で、癖のないオーソドックスなスイングで無理せず飛ばせる力があります。全米オープンでは2日目の最終ホールでめまいを起こして倒れるアクシデントがあったが、体調不良ながらも3日目にはトップタイに立つなど最後まで優勝争いを演じた。ケガや体調の問題がなく四日間万全な状態でプレーできれば優勝の可能性は大いにあります。
4位 ルイ・ウーストハイゼン(南アフリカ)
世界ランキング 17位
2010年、前回のセントアンドリュースでの大会で優勝。全米オープンも予選落ちかと思ったら2日目以降に66、66、67をビッグスコアを3日連続で出して結果2位タイフィニッシュ。悪条件になればなるほど得意とするのがウーストハイゼンの強さ。欧州ツアーでの経験からセントアンドリュースの地の利もあるし、飛ばさなくてい良いコースなのでウーストハイゼンのようなショットが安定している選手には有利。セントアンドリュースの二連覇を視野に入れ、間違いなく優勝争いに入ってくるでしょう。
5位 ジャスティン・ローズ(イングランド)
世界ランキング 8位
イングランド出身のローズにとっては是が非でも勝ちたい試合が全英オープン。ましてやヨーロッパゴルフの総本山とも言えるセントアンドリュースでの戦いとなれば目の色を変えて臨んでくるでしょう。今年も「チューリッヒクラシック」で優勝、「ザ・メモリアルトーナメント」で2位と調子も良いですし、ショットメイキング、パッティングと完璧なプレーヤーです。唯一不安視されるのが、アメリカのパークランドのゴルフに慣れてしまってリンクスでのプレーの仕方を忘れてないかな?という点です。1990年のニック・ファルド以来、四半世紀ぶりの英国人優勝となるか!?ローズに注目です。
6位 松山英樹(日本)
世界ランキング 14位
今年のマスターズでは5位、全米でも18位とメジャーでの安定感は抜群。メジャーでいつ勝ってもおかしくない選手の一人です。ただ、2013年に6位となったミュアフィールドとは全く違うコースです。同じリンクスコースではありますが、湾の中にある2ループのコースで風が読みやすかったと思います。高低差もあるコースだったので上りは止まりやすく、バンカーもそれほど無かった。一方、セントアンドリュースは風が回るのと、バンカーがポイントです。松山選手の持ち味であるパワーゲームが使えないので、下が硬いコースでどうやってボールを止めていくのかが優勝への鍵を握ると思います。それでも松山選手の良いところは“鈍感力"。コースがどうとか、良い悪いといったことを言わず、「受け入れられる力」があります。きっとセントアンドリュースも攻略してくれるでしょう。
ここからは優勝予想の番外編を!
B.ワトソンとD.ジョンソン。規格外の飛ばしを見せるこの二人は予測不能です。セントアンドリュースは1番と18番、2番と17番、3番と16番、4番と15番、5番と14番と全て隣り合わせのコースレイアウトになっていて、フェアウェイを共有しているため、飛ばし過ぎて予期せぬ転がりで隣のホールのバンカーに入ってしまうことも。飛ばすのは良いですが、入れてはいけないポッドバンカーに入れると終わりです。その点ではパー5とワンオン可能なパー4がポイントになってくるでしょう。未知のゴルフをするワトソン、ジョンソンの二人が、スピード違反(飛ばし過ぎ)、車線変更違反(OB)が無くて4日間無事故無違反でいけば、ぶっちぎりで優勝する可能性もあります。1995年のJ.デイリーの優勝実積もあるので、こればっかりはタケ小山にもわかりません。
(解説:タケ小山)
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