国内女子

笠りつ子インタビュー「プロ12年目の成長、オンとオフの切り替え」

2015年11月6日（金）午後4:13

　毎月プロ同士が9ホールのマッチプレーで対決する「ゴルフ真剣勝負 the MATCH」。3月は“国内女子ツアー開幕SP"と題して、ツアー開幕を前に笠りつ子と木戸愛の対戦が実現。舞台は米LPGAツアーも開催するなどトーナメントコースとしても有名なサイアムカントリークラブ。互いに譲らない熾烈なマッチプレー、ガチンコ勝負を制するのは果たしてどちらか注目だ。

　今回は、今年で30歳、節目の年を迎える笠りつ子にとっての2017年シーズンについて、3月の開幕を前に新シーズンへかける想いを聞いた。

33試合でトップ10入り22回と抜群の安定感

　プロ11年目の昨季、2勝を挙げ自身最高位となる賞金ランキング3位、獲得賞金も初の1億円を突破した。シーズン2勝のほか、2位が5回と常に優勝争いに絡む活躍を見せるなど飛躍の1年となった。そんな昨シーズン好調の要因について、笠はメンタル面の変化を挙げた。

　「シーズン中のオフは毎週月曜日にトレーニングを入れていますが、それ以外の時間はゴルフのことを忘れて、常にオンとオフを切り替えるようにしています。休日はそこまでアクティブな方ではないですが、美味しいごはんを食べたり、誰かと話したりして気持ちの切り替えをしています。オンとオフの切り替えを去年あたりから意識するようになったことで、成績にも繋がったと思います」

　毎週トーナメントが開催される国内女子トーナメント。常に心技体のコンディションを維持するのは一筋縄ではいかない。これまで年間賞金ランキングでトップ10入りしたことのなかった笠だが、昨シーズンは年間33試合に出場して、トップ10入りは22回に及ぶ。抜群の安定感を誇る成績が笠の変化を物語っている。

　プロ12年目の今年、“オンとオフの切り替え"以外にも変化が。昨年12月に開催された女子4ツアー対抗戦「THE QUEENS presented by KOWA」では日本チームの主将を務めるなどツアーを代表する選手となった笠。年齢と共にツアーメンバーの中におけるポジションも変わってきた。

「今までは先輩の背中を見てやってきましたが、今回のタイ合宿のように後輩と一緒にやることで今度は自分が背中を見せる番だと思うと、最初はちょっと戸惑いもありました。でも、今までは自分のことしか見えていなかったけど、周りに目を配れるように意識を変えたことで視野が広くなりました。」

日本人トップの嬉しさよりも韓国勢2人に負けた悔しさ

　昨季賞金ランキングでも日本人最高位となった笠には、日本人賞金女王への期待も高まるが“日本人最高位"はそれほど意識していないという。

「日本人トップっていうのは嬉しいですが、自分の上にはボミと申ジエの2人がいて、その2人に勝ちたい！っていう気持ちの方が強いです。ショットの技術もショートゲームもメンタルも、ツアーでトップになるにはぜんぶ課題です」

　目標に向かって上だけを見続ける。昨季達成した賞金1億円も3年前からの夢だったという。

　2017年シーズンの目標を聞くと、「昔から1億円プレーヤーを目標にやってきて、昨年その夢が叶ったことで自信もつきました。次はすぐに叶うかはわからないけど2億円を目標にしてやっていきたいです。日本人選手が頑張らなくてはいけないっていう気持ちは強いので、私がやるんだっていう気持ちで臨みたいです」と力強い言葉で語った。

　それでも「賞金女王は最後のご褒美なので、先ずは1試合1試合に集中してやっていきたい。」と冷静にシーズンの戦いを見据える。

　「いきなり賞金女王にはなれないですし、1つ1つの積み重ねだと思っています。2億円を目指していれば、おのずと結果はついてくると思っています。今年はメジャーに力をいれようという気持ちはありますが、メジャー以外の試合も勝ちたいので出場する試合全てでベストを尽くしたいです」

　最後に「でも、もう30歳だから休むところは休んで1年間を通して怪我をしないことですね。昨年と同じくオンとオフの切り替えはしっかりやっていきたいです。」と昨シーズンの戦いを自信にして成長した笠のブレない信念を感じた。

　3/2（木）に開幕する国内女子ツアー。開幕戦のダイキンオーキッドレディスは昨季2位となった大会。昨年のリベンジを果たして2017年のスタートダッシュとなるか、開幕戦でのプレーが楽しみだ。