トゥルーンのサプライズが待ち遠しくてたまらない(舩越園子の現地レポート/2016全英オープン)
2016年1月26日(火)午後1:09
ロイヤルトゥルーンで全英オープンが開催されるのは12年ぶり、9回目になるのだが、この地に棲むリンクスの女神は人々を驚かせるのがよほどお好きなようで、トゥルーンでは毎回、何かしらサプライズがもたらされる。
12年前。2004年の前回大会のときはトッド・ハミルトンが2日目に5位へ浮上したことが、すでに世界にとってのサプライズだった。当時のハミルトンは長らくプレーしていた日本ツアーを離れ、主戦場を米ツアーに移したばかり。日本では知られた存在で、米ツアーでは3月に初優勝も挙げていたが、それでも世界では無名選手にすぎなかった。そんな彼が2002年全英オープン覇者のアーニー・エルスをプレーオフで下して優勝したことは、まさにビッグ・サプライズだった。
ハミルトンとエルスの一騎打ちとなったプレーオフは4ホールの合計スコアで競う全英特有のスタイル。以前は最終日の翌日に36ホール、その後は短縮されて18ホールのプレーオフが行われていたが、マンデーフィニッシュを避けるために考え出されたのが4ホールのプレーオフだ。1985年大会から導入され、ついに初実施となったのがトゥルーンで行なわれた1989年大会だった。
4ホールのプレーオフを初めて目にした当時の人々にとって、それは少なからず驚きだった。グレッグ・ノーマン、ウエイン・グラディ、マーク・カルカベキアの三つ巴。そして勝利したのはノーマンではなくカルカベキア。そう、あの大会は勝敗の決着の仕方も結果も、何もかもがサプライズづくしだった。
1962年大会のアーノルド・パーマーから前回大会のハミルトンまで、トゥルーンが舞台となった過去6大会の覇者がすべて米国人というのは驚きというより不思議な偶然だ。
果たして今年はどんなサプライズが起こるのか。そうやって想いを巡らせると開幕前からワクワクしてくる。真正面から眺めれば、全米オープンと世界選手権シリーズのブリヂストン招待を続けざまに制し、世界No.2へ浮上したダスティン・ジョンソンの出場3試合連続優勝とメジャー2勝目が最大の注目を集めている。昨年大会でプレーオフ進出を逃し、思わず悔し涙を滲ませたジェイソン・デイは今年は世界No.1の立場で全英オープンに挑み、彼もまたメジャー2勝目を狙っている。
しかし、ちょっぴり異なるアングルから今年の大会を眺めてみると、この人こそはサプライズ物語にふさわしいという選手の姿が見えてくる。
スコットランドのコリン・モンゴメリー、通称“モンティ"は、すでに53歳。かつてはメジャーで何度も優勝争いに絡み、ことごとく惜敗。ついにメジャー未勝利のままシニアの世界へ移行した。母国では最大人気を誇っていたのに米国では口の悪いギャラリーに野次られ、まるで悪役。それでもメジャー優勝を果たせれば、悪役は一気に主役に転じたのだろう。だが、悲願は叶わず、モンティは2010年を最後に全英オープンから遠ざかり、表舞台からフェードアウトしていった。
そのモンティが今年は地区予選を潜り抜け、6年ぶりに全英オープンに戻ってきた。トゥルーン近郊で行なわれた最後の予選会でわずか3つの出場枠を競い合い、ぎりぎり3位で突破。偶然か必然か、モンティの父親はトゥルーンのメンバークラブのセクレタリーだ。息子がトゥルーンを熟知していることは言うまでもなく、そんなモンティが53歳の今年、トゥルーンを制して悲願のメジャー初優勝を飾ったら、それは十分すぎるほどのサプライズになるのではないか?
いつだってトゥルーンの全英オープンは、とても不思議な驚きに包まれる。今年のサプライズを、早く見たくてたまらない。
【特設サイト】全英オープンゴルフ選手権
【見逃し配信】2016全英オープンゴルフ選手権
【スマホ・PC配信】全英オープン速報!特別ニュース番組 LIVE FROM ロイヤルトゥルーンGC
全英オープンゴルフ選手権放送予定
1日目 7月14日(木) 午後2:30?翌午前4:00
2日目 7月15日(金) 午後2:30?翌午前4:00
3日目 7月16日(土) 午後6:00?深夜3:30※最大延長翌午前6:00まで
最終日 7月17日(日) 午後5:00?深夜3:00※最大延長翌午前7:00まで
写真提供:Getty Images