歴史的な1年 史上最強賞金女王の次なる舞台 ?イ・ボミ?
2016年1月14日(木)午後5:20
2015年の国内女子ツアーの主役は間違いなくイ・ボミ(韓)だった。日本のゴルフ界の主役がイ・ボミだったと言っても誰もが納得するだろう。昨季、史上5人目となる年間7勝を挙げ、悲願の賞金女王に輝いた。さらに、1年で積み上げた獲得賞金は2億3,049万7,057円まで達し、伊澤利光が2001年に記録した男女通じての日本ツアー獲得賞金最高額(2億1,793万4,583円)をも更新する快挙を達成したのだから文句のつけようがない。
昨年12月に行われた「LPGAアワード2015」では、LPGA Mercedes-Benz Player of the Year(年間最優秀選手賞)、賞金女王、年間平均ストローク第1位の3冠に輝き、「200点をつけてもいい」と自己採点をしたが、その他の部門でもパーオン率、平均パット数、パーセーブ率などでランキング1位を記録した順風満帆な一年だった。
それでも、すぐに1勝目を手にしたわけでもなかった。シーズン4戦目のアクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKIでは、プレーオフまでいきながら笠りつ子に敗れ2位。続くヤマハレディースオープン葛城からフジサンケイレディスクラシックまで3戦連続で2位タイと、4大会連続で優勝まであと一歩に迫り続ける抜群の安定感はさすがの一言だが、まだ勝利はない。
5月に入ってもトップ10フィニッシュを続けていたイ・ボミが、ようやくシーズン初Vをつかんだのは大会史上初の連覇がかかっていたほけんの窓口レディース。すでに大会前には賞金ランクを含む4部門でトップに立っていたが、この時期に1勝目を挙げられたのは賞金女王を目指す彼女にとっては大きかったに違いない。
さらに翌月にはアース・モンダミンカップで2勝目。史上最速で賞金1億円を突破すると、夏場のニトリレディスゴルフトーナメントとゴルフ5レディス プロゴルフトーナメントで2週連続優勝とし、ここで悲願の賞金女王をぐいっと引き寄せる。
5勝目を飾った10月のスタンレーレディスゴルフトーナメントでは、この時点で2009年に横峯さくらが樹立したツアー最高賞金額(1億7,501万6,384円)を更新。11月に入りシーズン残り4戦となった米女子ツアーと共催のTOTOジャパンクラシックでは上位フィニッシュを逃したものの、翌週の伊藤園レディスゴルフトーナメントでは、約5,400万円差でイ・ボミを追う賞金ランク2位のテレサ・ルー(台)が優勝を逃せば、自身初の賞金女王の座が確定となる最終局面を迎える。
初日はイ・ボミが単独首位に立ち、ルーが1打差の2位タイにつけるというファンにはたまらない展開。2日目もトップをキープしたイ・ボミは後続に2打差をつけてスタートした最終日、終始リードを守り切り完全優勝。そして、前年に亡くなった父・ソクジュさんとの約束だった賞金女王タイトルをつかんだのだ。
さらに勢いの止まらないイ・ボミは、翌週の大王製紙エリエールレディスオープンも制して年間7勝を達成。公式戦の優勝こそなかったが、圧倒的な強さで2015年シーズンを終えた。
オフに「リカバリー率が上げるように練習したい」と課題を挙げたイ・ボミの2016年の目標は「公式戦の優勝」と「年間平均ストローク60台」。さらに大きなテーマとして、「可能性がある限り、リオデジャネイロ五輪を目指したい」とのこと。昨年は参戦しなかった海外メジャーのANAインスピレーション(現地時間3月31日?4月3日)と全米女子オープン(7月7?10日)にも出場する予定だそうで、より過密なスケジュールとなりそうだが、彼女ならそれも笑顔で楽しんでしまうのかもしれない。今月からアメリカで合宿を行い、新シーズンに備える新女王がより高みを目指して、階段をかけ上がる姿を見届けたい。
写真提供:Getty Images