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ツアープロが使うコースメモの中身とは?

2014年11月21日(金)午後6:06

トーナメントの優勝争いの最中、キャディさんがメモを見ながらプロと話している光景を目にします。

あのメモは、コースの詳細が書かれた、通称「サイモンメモ」。
プロならではのコース攻略の秘密がつまったコースの見取り図です。

今回はなかなか一般ゴルファーが目にすることのできない「サイモンメモ」(※現「ザ・ヤーデージブック」)についてご紹介します。

 

 

「サイモンメモ」は日本発祥

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ツアープロでも知らない人が少なくないのですが、この「サイモンメモ」はそもそも日本発祥です。

ジャック・ニクラウスがはじめたと言われるこうした攻略メモは、もともとそれぞれのプロのキャディたちが、グリーン形状やハザード位置を記入して作成していました。

「サイモンメモ」もそんな経緯から生まれたものです。
1990年代後半に、現在もプロキャディとして活躍するサイモン・クラークさんが独自に作成したメモが起源。サイモンさん自身が個別に販売していたところを、JGTOが会場での販売権利を許可したことが、「サイモンメモ」が大きく広まるきっかけになりました。いわばお墨付きを得たわけですね。

サイモンさんは1997年からこのメモを販売し、2012年からは「プロシークレット」という名前で販売されるようになりました。

その年の末には、サイモンさんは石川遼プロのキャディとして渡米。現在も遼くんの活躍を支えています。

サイモンさんが渡米後の2013年からは、TYB18の「ザ・ヤーデージブック」がそれに変わり、ツアーで流通しています。

この「ザ・ヤーデージブック」を例にとって、その中身を見てみましょう。

 

ホールの全体像を把握

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「ザ・ヤーデージブック」は、ホールのレイアウトがリアルに書かれています。

マンホールやスプリンクラー、また大会期間中にのみスプレーで書かれるヤーデージポイントの位置と各ポイントごとの高低差まで、事細かに記されています。

この情報を2?3人のスタッフが、時にはラジコンヘリを使用したりしながら、およそ1時間かけて計測するというから、なかなか手間がかかっています。それだけにリアルで正確な記載になるわけです。

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そして、こちらがグリーンの全景。
傾斜は、1mごとにこまかく記載されています。
さらに、2年前までの初日から最終日までのピンプレイスも合わせて記載されています。

ツアープロ達は、当日渡されるピンプレイスとグリーンの情報を照らし合わせ、
 「最も狙いやすいラインはどこなのか?」
 「その位置に打ちやすいセカンドショットのポイントはどこなのか?」
 「そのポイントに打つにはティーショットはどうすべきか?」
などを考えて、グリーンから逆算しながらコース戦略を立てます。

プロゴルファーは単にボールを打つのが上手いだけでなく、コースを如何に攻略するかを考えるのにも長けています。

トーナメントの歴代優勝者が最終日に通った攻略ルートをなぞると、全員が酷似したルートを辿っていたという話もあるくらいです。

技術が拮抗している場合、同じコース内でどれだけ多くチャンスを作り、またタイトな状況に対して成功率を高めるショットを選択することが、勝敗を分ける鍵となっています。

「ザ・ヤーデージブック」はそのコース攻略に大いに貢献しているのです。

 

プロたちの気になる「メモ」使用法は?

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プロはこれらのメモを利用し、スコアメイクに活用しています。
それは、練習ラウンドのうちからすでに始まります。

「ザ・ヤーデージブック」には前年度と前々年度の4日間のピンプレイスが記されています。

実はトーナメントのピンプレイスは毎年ほぼ変わりません。
選手は指定練習日にこれを読みながら、写真のようなカップのダミーを置いて傾斜感や芝目を把握し、本戦に向けて練習します。

 

バーディーを取るためには?

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プロが「ザ・ヤーデージブック」を使う最大の理由はグリーンにあります。

朝渡されるピンプレイスとグリーン形状と照らし合わせ、その日最もバーディが狙えるパットのラインを探します。もちろん練習ラウンドでの情報も活かしていきます。

トーナメントの厳しいセッティングでは、グリーンのスピードは速く、傾斜の上や横につけてしまうと、たとえ短い距離でも簡単ではありません。上りのラインで、なるべく左右に切れないラインを考えます。

またプロによって、スライスラインが得意であったりフックラインが得意であったりという好みもあり、得意なラインにつけるのもコース戦略の一つです。

ただグリーンに乗ればいいわけではなく、闇雲にピンを狙うわけでもなく。プロはいかにしてバーディーをとるかに頭を捻ります。コースのメモはその手がかりになっています。

 

バーディーチャンスにつけるセカンドショット

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グリーンを見て、バーディーを取りやすいラインを決めると、次にそのエリアに打ちやすいポイントを探します。
パー4ならセカンドショット地点です。

バーディーが取りやすい、グリーン上の僅かなエリアを狙うには、フェアウェイのなかでもなるべく平らで打ちたいもの。そのセカンド地点をコースメモの地図を見ながら決定します。

ここで重要になるのはホールの起伏、残り距離、左右奥手前のハザード位置となります。 ハザードを避けて、高確率でグリーンを捉えていける地点を決定します。これも単に距離が短いだけではダメで、得意な番手、得意な距離で打てるのが大事です。

そして、ティーショットはそのポイントを狙っていきます。
そこにティーショットを打つための番手や距離を考えるわけです。

次のショットを打つポイントを決めていても、実際にそこにボールを運ぶにはその時の条件にもよります。

風や気温、その時の心理的なプレッシャーに至るまで加味すると、打ちやすい番手は刻々と変化します。
練習ラウンドでは番手を決めていても、ラウンド中では柔軟に変更しながら、その瞬間のベストな判断を下します。

例えば、ティーインググラウンドのどこにティーアップするのがいいかなど、プロは、目的の場所にボールを運ぶために、多くの事を考えます。

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この写真は、ABCゴルフクラブの名物ホール18番のグリーン周り。
2008年のマイナビABCチャンピオンシップで、石川遼プロがウォーターショットで優勝を決めたホールです。

こうしてみるとグリーンの左の花道からはやや広く安全なことがわかります。
グリーンの右側は池に向かって傾斜し、奥のバンカーに入れてしまうと、池に向かってのバンカーショットが残ります。

最終日のピンポジションは例年、右から数ヤードの厳しいところにセッティングされるので、プロはリスクを負って池超えを果敢に攻めるか、やや左を狙ってリスクを回避するかを決断します。

このようにホールのレイアウトを確認しながら、起伏をチェックして傾斜を利用して攻めたり、ハザードを避けるためにあえて短い番手を選択するなど、コースメモの情報をフル活用することで、プロはビックスコアを作っていくのです。

トーナメント中継では、プロがメモを見ながらどんなことを考えて、ショットを選択しているのか? そんなことを考えても面白いかもしれません。

 

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