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「勝負の分かれ目」は12番 渋野日向子がドライバーを握った姿 岡本綾子が振り返る全英女子オープン
2019年8月15日(木)午後5:03
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AIG全英女子オープンで優勝した渋野日向子選手。CS放送ゴルフネットワークでの同大会中継で解説を務めたプロゴルファーの岡本綾子さんが、同局の特別番組「アフターメジャー〜2019全英女子オープンを振り返る〜(15日よる7時初回放送)」の取材のなかで、改めて渋野選手の優勝について振り返りました。
3日目を終えて首位となったところで、「もう、いける」でしょうと。中継でも言っていたんですが、最終日のフロントナイン、仮にボギーがひとつふたつでたところで、彼女は切り替えが早いから、フロントナインが終わる時点でイーブンに戻しておけば、バックナインに入って絶対に立て直しができると思っていました。結果的に上手く行きましたけど、予感をさせてくれる流れはありました。
(最終日3番の4パットのダブルボギーについて)4パットというのは、集中力が無いというか無気力的な流れで起きるケースとか、緊張の中で小さい筋肉の動きで微妙なタッチが出来ないケースとか色々ありますけど、彼女が過去4パットしたことがあるかは分かりませんが、すぐに立て直したとのいうのは、(よくある)3パットよりも早く切り替えられたんじゃないかなと思いますね。
2組前にいたリゼット・サラス(米)は、ショットが良すぎました。2メートル以内にビタビタと寄っていたじゃないですか。あそこまでっていうのは紙一重の確率ですから、18番でバーディパットを外した時は、こっちがドキッとしました。
終わった後だからなんとでも言えますけど、サラスが抜け出してストレスフリーのいいプレーをずっと続けていましたが、あの18番に関しては、ここ一番勝負どころのバーディパットを、同じルーティーンではなく時間をかけすぎたように思います。時間を測ったわけではないので私の感覚ですけどね。17番まで同じルーティーンで来ていたものが、なんで18番だけ時間をかけたのか。サラスはそんなにプレーが遅いタイプではないですが、ひとつのリズムを狂わせたかなという感じがしますね。
サラスが18番を外した直後、中継ではCM中でしたけど、「渋野、あるわ」とポロッと言葉が出ちゃいました。勝負を分けるというか、「流れが変わった」ところですね。「勝負の分け目」というのは、意識をしたプレーのところであって、渋野自体はサラスが短いバーディパットを外したということまでは分からないでしょうし、おそらくギャラリーの歓声は聞こえては無いでしょう。なので、彼女の18番のセカンドは「ピンそばに来い!」と願っていました。
勝負を分けたのは、12番(短いパー4)かな。12番のワンオンホールで渋野選手がドライバーを持ったことですね。3日目の決勝ラウンドではレイアップしましたが、首位のサラスと2ストロークビハインドでも私は「ドライバーを持って欲しい」と思っていたところ、彼女がドライバーを持っている映像を観て「よしっ」って拳を握っちゃいました(笑)。
ドライバーでミスをすれば「ほれ観たことか! なんでドライバー持つんや! レイアップでもバーディを獲れるだろう」と言われるでしょうけど、彼女がひとつの大きな勝負に出たということですし、その勢いが13番以降の体の動きを良くして、キレも良くなっていったことに繋がったと思います。自分で手繰り寄せたわけですね。
ゲームというのは、毎週毎週じゃないし、毎試合でもないし、毎日でもない。たまたまこの週、体が疲れている割には、時差ぼけしている割には、バウンスバックでスコアメイクがすごく上手く行ったところでしょうね。勝つ人、優勝する人にはよくあり得ることです。何がなんだか分からないうちに72ホール終わっちゃった、トロフィー貰っちゃった、というのも多少あると思いますけど(笑)。
彼女が勝ってくれて、嬉しいです。誰かがやらなきゃいけなかったわけですから。私には出来なかったですけど(笑)。1998年に朴セリ(韓)がいきなり全米女子オープンで優勝しちゃうわけですよ。それを観ていた韓国の若い子たちが、同じように何人もいきなりメジャーで勝ってしまうわけです。それは、日本人がいままで出来なかったこと。それをやった渋野は、大偉業ですよね。
渋野選手のああいうキャラクターで勝てるなら、「私も渋野選手より上手になればいいんでしょ?」という目標ラインとして目指すことができるわけですから。彼女の立ち位置は、若い選手たちにとっても子どもたちにとっても目標ラインになりますよね。これからは、自分じゃ浮足立っているつもりがなくても浮足立ってしまうものなので、老婆心ながら、気をつけてほしいですね。
いや・・・、本当に嬉しいですよ(笑)。
渋野の優勝は「日本人がいままで出来なかった大偉業」
国内での渋野選手は、優勝した時にテレビで少し観ていました。結果とかは観てますけど、彼女を意識して観ていたわけではないですね。今風の子ですよね。「今風」というと良くも悪くも取れちゃうんでしょうけど、(キャラクターとストーリーが)漫画チックですよね。悪い意味じゃないですよ(笑)。周りの人達を和ませる、ファンにさせるという。日本人は漫画が好きですから、なんの違和感もなく受け入れられるキャラクターじゃないでしょうか。3日目を終えて首位となったところで、「もう、いける」でしょうと。中継でも言っていたんですが、最終日のフロントナイン、仮にボギーがひとつふたつでたところで、彼女は切り替えが早いから、フロントナインが終わる時点でイーブンに戻しておけば、バックナインに入って絶対に立て直しができると思っていました。結果的に上手く行きましたけど、予感をさせてくれる流れはありました。
(最終日3番の4パットのダブルボギーについて)4パットというのは、集中力が無いというか無気力的な流れで起きるケースとか、緊張の中で小さい筋肉の動きで微妙なタッチが出来ないケースとか色々ありますけど、彼女が過去4パットしたことがあるかは分かりませんが、すぐに立て直したとのいうのは、(よくある)3パットよりも早く切り替えられたんじゃないかなと思いますね。
2組前にいたリゼット・サラス(米)は、ショットが良すぎました。2メートル以内にビタビタと寄っていたじゃないですか。あそこまでっていうのは紙一重の確率ですから、18番でバーディパットを外した時は、こっちがドキッとしました。
終わった後だからなんとでも言えますけど、サラスが抜け出してストレスフリーのいいプレーをずっと続けていましたが、あの18番に関しては、ここ一番勝負どころのバーディパットを、同じルーティーンではなく時間をかけすぎたように思います。時間を測ったわけではないので私の感覚ですけどね。17番まで同じルーティーンで来ていたものが、なんで18番だけ時間をかけたのか。サラスはそんなにプレーが遅いタイプではないですが、ひとつのリズムを狂わせたかなという感じがしますね。
サラスが18番を外した直後、中継ではCM中でしたけど、「渋野、あるわ」とポロッと言葉が出ちゃいました。勝負を分けるというか、「流れが変わった」ところですね。「勝負の分け目」というのは、意識をしたプレーのところであって、渋野自体はサラスが短いバーディパットを外したということまでは分からないでしょうし、おそらくギャラリーの歓声は聞こえては無いでしょう。なので、彼女の18番のセカンドは「ピンそばに来い!」と願っていました。
勝負を分けたのは、12番(短いパー4)かな。12番のワンオンホールで渋野選手がドライバーを持ったことですね。3日目の決勝ラウンドではレイアップしましたが、首位のサラスと2ストロークビハインドでも私は「ドライバーを持って欲しい」と思っていたところ、彼女がドライバーを持っている映像を観て「よしっ」って拳を握っちゃいました(笑)。
ドライバーでミスをすれば「ほれ観たことか! なんでドライバー持つんや! レイアップでもバーディを獲れるだろう」と言われるでしょうけど、彼女がひとつの大きな勝負に出たということですし、その勢いが13番以降の体の動きを良くして、キレも良くなっていったことに繋がったと思います。自分で手繰り寄せたわけですね。
ゲームというのは、毎週毎週じゃないし、毎試合でもないし、毎日でもない。たまたまこの週、体が疲れている割には、時差ぼけしている割には、バウンスバックでスコアメイクがすごく上手く行ったところでしょうね。勝つ人、優勝する人にはよくあり得ることです。何がなんだか分からないうちに72ホール終わっちゃった、トロフィー貰っちゃった、というのも多少あると思いますけど(笑)。
彼女が勝ってくれて、嬉しいです。誰かがやらなきゃいけなかったわけですから。私には出来なかったですけど(笑)。1998年に朴セリ(韓)がいきなり全米女子オープンで優勝しちゃうわけですよ。それを観ていた韓国の若い子たちが、同じように何人もいきなりメジャーで勝ってしまうわけです。それは、日本人がいままで出来なかったこと。それをやった渋野は、大偉業ですよね。
渋野選手のああいうキャラクターで勝てるなら、「私も渋野選手より上手になればいいんでしょ?」という目標ラインとして目指すことができるわけですから。彼女の立ち位置は、若い選手たちにとっても子どもたちにとっても目標ラインになりますよね。これからは、自分じゃ浮足立っているつもりがなくても浮足立ってしまうものなので、老婆心ながら、気をつけてほしいですね。
いや・・・、本当に嬉しいですよ(笑)。
(写真:Getty Images)
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