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空を見上げ天国の母に優勝を伝えたウィンダム・クラーク、母への思いと確かな技術で掴んだメジャータイトル
2023年6月22日(木)午後4:38
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今年で123回目を迎えた全米オープンゴルフ選手権(6月15日~18日/ロサンゼルスカントリークラブ/カリフォルニア州)は、ウィンダム・クラークがメジャー初優勝を飾りました。全米オープンらしい激しい戦いが繰り広げられた同大会。CSゴルフネットワークで中継解説を務めたプロゴルファー・佐藤信人さんに振り返ってもらいました。
試合後のインタビューで、聞き手が「メジャー経験豊富な選手のようなプレーでしたね」と賛辞を贈っていましたが、優勝を飾ったウィンダム・クラークのプレーは、まさにベテラン選手のようでした。
メジャー出場が今回で7回目。過去6回は予選通過が2回しかなく、それも順位は下位。そんな選手が初めて最終日をトップで迎えた場合、普通はガタガタと崩れてトップ10あたりで踏みとどまるというのがよくあるパターンですが、見事に逃げ切りました。
試合後、14番パー5のセカンドショットと、8番深いラフに捕まったピンチを寄せワンのボギーで切り抜けたのがキーポイントだったと振り返っていましたが、その言葉通り、14番のセカンドはウィニングショットともいえるくらいの価値があったし、8番をボギーで凌いで9番でパーを取ったのも勝因のひとつといえるでしょう。
技術的にも王者にふさわしいものを持っていると思います。ドライバーショットの飛距離は他に引けを取らないうえに、パッティングも上手い。アプローチに関しても、学生時代のコーチは、「簡単なショットはあまり上手くないけど、難しくなるほど得意としていた」という話をしていましたが、ツアーで戦うことによって、いろんなことがブラッシュアップされてきたのでしょう。メジャー初優勝といっても、今年の5月にウェルズ・ファーゴ選手権で勝っているので、勝っても不思議ではないのですが、私の中ではサプライズ優勝でした。
フィナーレも実に感動的でした。子どものころから慕い、大切にしていたお母さんを10年前に亡くし、一時期スランプになったこともあったそうですが、それを乗り越えてつかんだビッグタイトル。優勝の瞬間、空を見上げて優勝を報告していたのでしょう。そのシーンを見て、多くの人がもらい泣きをしたのではないでしょうか。今回の優勝は、そんなお母さんの存在も大きかったと思います。人間というのは、信じるものがあれば強くなれることを証明したような気がします。
クラークの優勝で沸いた全米オープンでしたが、リッキー・ファウラーの存在も忘れることができません。最終日をトップタイで迎えながらも、またもやメジャータイトルを手にすることができなかったファウラー。最終日は消極的になったのか、アイアンがショートする場面が多かったのですが、最近の彼の成績を考えると、この4日間はポジティブに捉えるべきだと思います。この経験を生かして、また次の舞台で活躍してほしいものです。
日本人選手は、出場4人全員が決勝ラウンドに残ったのですが、サプライズはなんといっても永野竜太郎選手です。日本で優勝したことがない30代半ばの選手が優勝争いに絡んできたということは、現地でも話題になっていました。最終日は厳しいコンディションに苦しめられましたが、20位タイというのは立派な成績。この大会で自信も付いたと思うので、初優勝も時間の問題のような気がします。
少しコースのことにも触れておきましょう。今回の舞台は、ロサンゼルスCC。普通の人はプレーができないほど敷居が高く、しかもメジャーは初開催。選手、関係者を含めた多くの人がベールを脱ぐ名門に、ワクワクしていたと思います。
しかし、フタを開けてみると、初日にコースレコードとなる62を2人がマークし、80台を叩いた選手は一人もいなかった。これは、USオープン史上、初めてのことでした。USGA(全米ゴルフ協会)、ロサンゼルスCCからすれば、不名誉な記録となりましたが、これは仕方がないこと。もともと渋滞を起こしやすいコースということもあって、156人がプレーする初日からいきなり難易度を高めるわけにはいかない。スムーズな流れを作るためにやった結果が、ああいうスコアになったわけですが、それが予想を上回るものだったということでしょう。しかもここで全米オープンが開催されるのは初めてのことなのですから。
2日目以降は手綱を締めたのか、全米オープンらしいコースセッティングになりました。16年後に再びここに戻ってくるようですが、そのときは初日から厳しいセッティングになると思います。
次のメジャーは7月の全英オープン。日本からは国内ツアーで台頭してきた若いプレーヤーたちがこぞって出場するようですが、彼らがどんなプレーを見せてくれるか。今から楽しみです。
(写真:Getty Images)
「まるでベテランプレーヤーのよう」見事に勝ちきったクラーク
試合後のインタビューで、聞き手が「メジャー経験豊富な選手のようなプレーでしたね」と賛辞を贈っていましたが、優勝を飾ったウィンダム・クラークのプレーは、まさにベテラン選手のようでした。
メジャー出場が今回で7回目。過去6回は予選通過が2回しかなく、それも順位は下位。そんな選手が初めて最終日をトップで迎えた場合、普通はガタガタと崩れてトップ10あたりで踏みとどまるというのがよくあるパターンですが、見事に逃げ切りました。
試合後、14番パー5のセカンドショットと、8番深いラフに捕まったピンチを寄せワンのボギーで切り抜けたのがキーポイントだったと振り返っていましたが、その言葉通り、14番のセカンドはウィニングショットともいえるくらいの価値があったし、8番をボギーで凌いで9番でパーを取ったのも勝因のひとつといえるでしょう。
技術的にも王者にふさわしいものを持っていると思います。ドライバーショットの飛距離は他に引けを取らないうえに、パッティングも上手い。アプローチに関しても、学生時代のコーチは、「簡単なショットはあまり上手くないけど、難しくなるほど得意としていた」という話をしていましたが、ツアーで戦うことによって、いろんなことがブラッシュアップされてきたのでしょう。メジャー初優勝といっても、今年の5月にウェルズ・ファーゴ選手権で勝っているので、勝っても不思議ではないのですが、私の中ではサプライズ優勝でした。
フィナーレも実に感動的でした。子どものころから慕い、大切にしていたお母さんを10年前に亡くし、一時期スランプになったこともあったそうですが、それを乗り越えてつかんだビッグタイトル。優勝の瞬間、空を見上げて優勝を報告していたのでしょう。そのシーンを見て、多くの人がもらい泣きをしたのではないでしょうか。今回の優勝は、そんなお母さんの存在も大きかったと思います。人間というのは、信じるものがあれば強くなれることを証明したような気がします。
またもや惜敗も存在感を増したファウラー、4名全員が決勝に進んだ日本勢
クラークの優勝で沸いた全米オープンでしたが、リッキー・ファウラーの存在も忘れることができません。最終日をトップタイで迎えながらも、またもやメジャータイトルを手にすることができなかったファウラー。最終日は消極的になったのか、アイアンがショートする場面が多かったのですが、最近の彼の成績を考えると、この4日間はポジティブに捉えるべきだと思います。この経験を生かして、また次の舞台で活躍してほしいものです。
日本人選手は、出場4人全員が決勝ラウンドに残ったのですが、サプライズはなんといっても永野竜太郎選手です。日本で優勝したことがない30代半ばの選手が優勝争いに絡んできたということは、現地でも話題になっていました。最終日は厳しいコンディションに苦しめられましたが、20位タイというのは立派な成績。この大会で自信も付いたと思うので、初優勝も時間の問題のような気がします。
少しコースのことにも触れておきましょう。今回の舞台は、ロサンゼルスCC。普通の人はプレーができないほど敷居が高く、しかもメジャーは初開催。選手、関係者を含めた多くの人がベールを脱ぐ名門に、ワクワクしていたと思います。
しかし、フタを開けてみると、初日にコースレコードとなる62を2人がマークし、80台を叩いた選手は一人もいなかった。これは、USオープン史上、初めてのことでした。USGA(全米ゴルフ協会)、ロサンゼルスCCからすれば、不名誉な記録となりましたが、これは仕方がないこと。もともと渋滞を起こしやすいコースということもあって、156人がプレーする初日からいきなり難易度を高めるわけにはいかない。スムーズな流れを作るためにやった結果が、ああいうスコアになったわけですが、それが予想を上回るものだったということでしょう。しかもここで全米オープンが開催されるのは初めてのことなのですから。
2日目以降は手綱を締めたのか、全米オープンらしいコースセッティングになりました。16年後に再びここに戻ってくるようですが、そのときは初日から厳しいセッティングになると思います。
次のメジャーは7月の全英オープン。日本からは国内ツアーで台頭してきた若いプレーヤーたちがこぞって出場するようですが、彼らがどんなプレーを見せてくれるか。今から楽しみです。
(写真:Getty Images)
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6月15日(木)~6月18日(日)