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「厳しいかもしれない」松山英樹が明かした2023シーズン苦悩の日々

2024年1月1日(月)午前8:00

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 PGAツアー8勝の松山英樹選手が、CS放送ゴルフネットワークの新春特別番組『松山英樹 RE:START(1月1日午後4時〜初回放送/同時配信)』に出演、単独インタビューに応えました。未勝利に終わった2023年、怪我の不安があった年明けからプレーオフシリーズ進出へ追い込まれていたときの心境など、シーズンの流れにそって各試合や一打一打の瞬間について、PGAツアー中継解説を務める佐藤信人プロが話を聞きました。この記事では、そのインタビューの一部を紹介します。
 
目指すスイングと結果を出したい気持ちが噛み合わなかった2023シーズン

プレー詳細を克明に覚えている驚異的な記憶力で2023年を振り返る松山英樹選手。

佐藤 例年のことですが、私はこれが1年で一番緊張する、そして一番楽しみにしている仕事なんですが(笑)。

松山 ハハハ(笑)。

佐藤 日本で試合はありましたけど、2023年の秋は初めてオフのようになりましたが、ゆっくりできましたか。

松山 そうですね。ゴルフもそんなにしなかったですし、練習もほぼせずに過ごして、本当にゆっくりできました。

佐藤 なるほど。また恒例というか、松山選手に2023年を振り返ってもらうという番組ですけど、松山選手は記憶力がいいですよね。

松山 はい、そうですね。

佐藤 思い出していただいて、振り返っていただければと思うのですが、まずは「セントリートーナメントオブチャンピオンズ(2023年1月5日〜8日/ハワイ州)」ですね。3年連続でセントリーから年初めという形でしたが、どうでしたか。秋に「ケイデンスヒューストンオープン(2022年11月10日〜13日/テキサス州)」を首痛で途中棄権して、オフになってからの流れでしたが。

松山 セントリー自体は大丈夫だったのですが、「ソニーオープンインハワイ(2023年1月12日〜15日/ハワイ州)」と2週連続出場することにすごく不安を感じていました。首の状態も落ち着いてはいたのですが、いつ痛くなるかわからないという状況でスタートして、まずは2週連続試合ができてよかったなっていう感じでした。

佐藤 なるほど。そのハワイ2戦に行くにあたって、あまりトレーニングとか練習を積めていない感じだったということですかね。

松山 そうですね。

佐藤 セントリーは21位タイでしたが、内容はどうだったのですか。

松山 結果は出なかったですけど、そこまで悲観する内容じゃないなというのは感じたので、次のソニーオープンもきっかけさえあれば上位で争えるかなという感じはありました。

佐藤 ソニーオープンはいわゆるディフェンディングチャンピオン(2022年優勝)として、会見などいろいろとあって周りも騒がしい感じだったと思いますけど、連覇に向けてというのはどんな雰囲気だったのですか。

松山 初日がどれくらいで回れるかによって変わるかなと思ったのですが、普通にスタートをきれたので、落ち着いてできたかなと。

佐藤 それで予選を通って、結果的に順位としてはあまりよくなかったですが(48位タイ)、スタッツを見ると確か3日目のストローク・ゲインド・アプローチ・ザ・グリーン(ショットのスコア貢献度を示す指標)は1位だったし、何となく松山選手らしいゴルフだなと僕は思っていたのですが。

松山 3日目まではそんなに悪い感じはなかったですけど、最終日に途中5番ホールぐらいで、特殊なショットを打ったときに首をやってしまったので。

佐藤 気にしているシーンありましたね。

松山 そこから成績よりも首の方が気になって「痛くならないかな」というのが心配になってしまって。最後まで成績を求めるような感じではなかったですね。

佐藤 その次は「ファーマーズインシュランスオープン(1月25日〜28日/カリフォルニア州)」でしたよね。久しぶりのトップ10フィニッシュ9位タイで明るい兆しかなと思ったのですが。

松山 ファーマーズのときは、ショットよりパターの方がいい状態になってきていて、自信を持って試合に出ていました。最終日なんかは「グリーンに乗っておけば入るかな」っていうような雰囲気があったのですごく楽にプレーできたのですが、最終日の後半になって上位が見えたときに、ショットで不安だった部分がでてしまって、スコアが作れなかったですけど。これでショットが良くなればなっていうのはありましたね。

佐藤 それなりの手応えは感じた試合だったのですね。「ザ・ジェネシスインビテーショナル(2月16日〜19日/カリフォルニア州)」と「アーノルド・パーマーインビテーショナル(3月2日〜5日/フロリダ州)」は2試合連続で予選落ちという、これは7年ぶりのことだったそうで、それ自体が凄いなと思うのですが、連続予選落ちというのは松山選手にとってどういう感覚がするものですか。

松山 ジェネシスに落ちたときは、もうショットもパットも本当にわかんなくなっちゃったので。ソニーのときはショットがちょっと良くなって、ファーマーズではパットがちょっと良くなった感覚をそのままやろうと思ったらなかなか続かなくて。

佐藤 サンディエゴのトーリパインズゴルフコース(ファーマーズインシュランス会場)と、ロサンゼルスのリビエラカントリークラブ(ザ・ジェネシスインビテーショナル会場)って、グリーンの芝が「ポアナ」って名前は一緒ですけど、全く違うものらしいですね。

松山 ああ、全然違いますね。リビエラの方がちょっと速いです。それでいきなり切れたりするので、特殊なグリーンかなって感じですね。

佐藤 リビエラのグリーンはちょっと読みづらいから、去年に限らず例年苦戦することが多いのですね。予選落ちというのはやはりガクッとくるものですか。

松山 パーマーのときはちょっとガクッときましたね。リビエラのときは「もうしょうがない、この状態では仕方ないな」と思ったのですが、パーマーのときは、初日良くはないですけど兆しが見える終わり方ができたので、次の日どれくらいできるかなと楽しみにしていたんですが、コースに対して全然自分がいうこと聞かなかったというか、制御をかけられなかったので。
 

解説者そしてプロゴルファーならではの視点で話を聞いていく佐藤信人プロ。

佐藤 松山くんレベルでも「いけるな」と思った次の日に「何これ」みたいなことがあるわけですね。でもその翌週の「ザ・プレーヤーズ(3月9日〜12日/フロリダ州)」ですよね。あのときは初日は出遅れて90位台でしたが、最後には優勝争いまで上がっていった試合で、めちゃくちゃテンションが上がる楽しみな展開でしたけども。最終日最終組の2時間半ぐらい前の組から、一時優勝争い(結果は単独5位)まで行きましたけど、あのときはどんな感じだったのですか。

松山 2試合連続で予選落ちしたその日にコーチ(黒宮幹仁氏)が合流して、どういう方向性で行こうかと話をしました。ショットもパットもこういう方がいいんじゃないかなっていうことを言われて、納得した形でやっていきましたが、初日はちょっと打ってしまいましたけど、でも新しくやることをやり切れたっていう感じと、良くなるというきっかけがあったので。2日目・3日目も、自分の中でこうしたらいいんだなっていうのがちょっと見えたので、大丈夫かなというのがあって。最終日は、ショットもパッティングもうまくかみ合ってくれたっていう感じですね。

佐藤 最終日は14番の落とし穴(ダブルボギー)がありましたけど、ちょっと振り返りたくないかもしれませんけど、あのセカンドショット(グリーン右サイドへ大きく外してしまったショット)、僕はちょっと意外というか、絶対に行ってはいけないところですよね。

松山 一番行ってはいけないところですね。ティーショットは完璧に打ったんですけど、セカンドは向かい風が強くて、残り200ヤードちょっとで、5番アイアンをしっかり打つか、4番アイアンで抑えるか微妙な距離だったんです。前の週までボールが飛んでいなかったというのがずっと悩みだったので、「もしかしたら飛ばないんじゃないか」と5番アイアンを持てずに大きめの番手で合わせようとして。ちょっとボールに泥もついていたんですけど。

佐藤 ああ、なるほど・・・。

松山 「絶対にやっちゃいけないミスをここでやっちゃったな」という。特に優勝争いしているときは最悪左サイドのバンカーでいいのに、それを打てなかったのがちょっとショックで。

佐藤 試合後のコメントで、14番とか、15番のティーショットとか、最後の18番(ボギー)とか、ああいうミスがなければ優勝争いできると思いますと話していましたが、そういういったジャッジのミスがあったということなんですね。

松山 そうですね。15番は完全なミスショットでしたけど、パーでいけたので、14番ですね。
 

終始笑顔でリラックスした様子の松山英樹選手。

佐藤 松山選手って、試合終わると「あのときああすれば」とか「ああだったな」とか分析とかするのですか。

松山 すごくしますね。スタッツはほぼ見ないのですが、例えばパッティングで、外した距離が短くても「もうこれは仕方ないよな」と諦めがつくものもあれば、6mの距離が入らなかった方がショックだったりするときもあるし、「このシチュエーションだったらこれは打てたよな、でも打てなかった原因なんだろうな」とかは考えたりします。

佐藤 その後のシーズンでは、「ザ・メモリアルトーナメント(6月1日〜4日/オハイオ州)」でも3日目まで優勝争いに残っていたり、「3Mオープン(7月27日〜30日/ミネソタ州)」では初日がよかったりとか、2023シーズンを見ていると、世間はツアーチャンピオンシップにいけなかったとか、10年連続出場が途絶えたみたいな言い方するのですが、本当に惜しかったなと。あの試合の20位が15位になればとか、その15位が8位になったかもしれないとか、そういうことの積み重ねのように感じるのですが、そのあたりはご自身ではどうですか。いいラウンドもあって、前半は良かったけど、後半何か押し切れなかったみたいなことが多かったじゃないですか。

松山 やはりメモリアルでそれを一番感じて。初日、2日目、何となくいい形ができ始めたなと思って、このままっていうところで、どうしてもスイングが変わってしまったりとか、上位争いのときにうまく打てなくなったりしたときに、どうしていけばいいのかわからなくなるというか。何かそこで不安を持ってゴルフをしているので、なかなか上位には行けないという感じがあって。「トラベラーズチャンピオンシップ(6月22日〜25日/コネチカット州)」が終わったときに、「このゴルフでトップ10に入れないのは、今年は厳しいかもな」って正直思ってしまって。

佐藤 トラベラーズは13位タイでしたね。

松山 そうですね。もうこれでトップ10に入れないと「今年はちょっとツアチャン厳しいかな」と感じましたね。

佐藤 要するに、ショットとか内容的にはいいのに、この結果なのかという。

松山 いいゴルフをしていても、大事な場面というか「ここでこのミスしたらいけない」というミスをしてしまうというか。初日、2日目がよくても3日目、4日目のゴルフが悪かったり、原因ははっきりわかってはいないんですけど、そういうことが続いていると、ちょっと厳しいなというのはありましたね。

佐藤 ラウンド中にスイングがわかんなくなっちゃった時って、僕らでもよく「スイング探しの旅」に出ることあるんですけど、自分のいろんな引き出しを引っ張り出していろいろ試すものなのか、あるいは、うまくいかなくてもコーチと決めたことをそのことをやり切るとか、いろいろあるじゃないですか。

松山 やりきたいんですけど、特にメモリアルは初日、2日目はやりきれたのですが、3日目になって上位争いしているときに、「ボールを曲げたくない、結果を出したい」ということに対して体が反応してしまって、2日間やってきた動きがなかなかできないということがあったので。それは今考えると「そのスイングじゃ駄目だよね」っていう判断になるのですが、そのときはそれがいいと思ってやっていたので、それを最後まで同じことを繰り返しちゃったなという感じですね。

(以降、番組本編に続く)

■【放送予定】『松山英樹 RE:START』
─CSゴルフネットワーク2024年1月1日(月・祝)午後4時〜初回放送(再放送あり)
─動画配信サービス「ゴルフネットワークプラス」で同時配信

■松山英樹選手出場予定PGAツアーハワイアンスイング
◆ザ・セントリー
─出場予定選手
松山英樹ほか2023−24シーズンFedExCupランキング上位50名に出場資格
─大会概要
開催日:1/4(木)~1/7(日)
場所:プランテーションコース at カパルアリゾート(ハワイ州)

◆ ソニーオープン イン ハワイ
─出場予定選手(順不同)
松山英樹、久常涼、蟬川泰果・金谷拓実・平田憲聖・桂川有人・岩崎亜久竜・中野麟太朗@
─大会概要
開催日:1/11(木)~1/14(日)
場所:ワイアラエカントリークラブ(ハワイ州)

関連番組

松山英樹 RE:START

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