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4日間サンドセーブは「100%」グレイソン・マレー7年ぶり優勝の鍵は冴えたショートゲーム

2024年1月18日（木）午後0:38

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　ハワイで行われた「ソニーオープンインハワイ」（ワイアラエCC）。大会を制したのは、30歳のグレイソン・マレー。初優勝だった2017年「バーバゾルチャンピオンシップ」以来7年ぶりにツアー通算2勝目を飾りました。混戦模様で、最後まで誰が栄冠を手にするか分からないほどの激闘を、ゴルフネットワークで解説を務めたツアープロコーチの内藤雄士さんに振り返ってもらいました。

ソニーオープンインハワイらしい大混戦、ツアー通算2勝目を飾ったグレイソン・マレー

　今年の「ソニーオープンインハワイ」は、手に汗握る激戦でした。もともと混戦になることが多く、プレーオフにもつれこむことも多い大会ですが、これほどまでの混戦は記憶にないくらい。最後まで誰が優勝するか全く分からない展開で、キーガン・ブラッドリー、アン・ビョンフン、グレイソン・マレーの3人の戦いになったプレーオフも、マレーが1ホール目で12メートルのパットをねじ込むという劇的なフィナーレ。そういう点からいっても、非常に面白い試合だったんじゃないかと思います。

　そのマレーは現在30歳。遅咲き選手のように思われますが、16歳のときに下部ツアーで予選を通過、名門・アリゾナ州立大学でも活躍したという、かつては“天才少年”と呼ばれたゴルファーです。2016年には下部ツアーで優勝して、翌年にはPGAツアーの「バーバゾルチャンピオンシップ」でも勝利を挙げています。

　しかし、2勝目がなかなか手に入らなかった。苦節7年。昔は短期な一面を覗かせることがあったのですが、今回はすごく我慢強くて、いいパーを拾い続けていました。最終日は3バーディー、ノーボギーのまさに我慢のゴルフ。バンカーセーブが4日間で12／12（100%）という辺りにも成長のあとが感じられました。

　試合を決めたのはプレーオフのロングパットでしたが、私が素晴らしいと思ったのは、72ホール目の80ヤードのサードショット。あれがピッタリ着いたことで、優勝がグッと近づいたような気がします。全体的に見て、ショートゲームも抜群に冴えていたように思います。

優勝には届かなかったが大きな収穫を得た日本人選手たち

　日本人選手で予選を通過したのは、松山英樹選手、久常涼選手、桂川有人選手、蟬川泰果選手の4人でした。昨季、「オープン・ド・フランス」で優勝した久常選手ですが、そのときの舞台がル・ゴルフ・ナショナルというフランスでもNo.1の難コース。フェアウェイが狭くて、風の影響も大きいコースで勝ち抜いたということで、今回のワイアラエCCも彼に合っていると思っていたんですが、予想通りいいゴルフをしてくれました。途中もったいないプレーはあったものの30位タイ。今季PGAツアーで戦うわけですが、本人も手応えを感じたのではないでしょうか。

　一方の蟬川選手は、心も強いし、ゴルフも攻撃的。去年この大会で悔しい思いをしているだけに、優勝の可能性ありと思っていたのですが、今一歩及びませんでした。
特に悔やまれるのが、本人も振り返っていた、「お先に」のパットを外してしまった最終日の2番ホール。あのダブルボギーがなければ、最後まで混戦の中にいたんじゃないかと。ただ、あれだけのゴルフができたことは彼にとっては大きな収穫だと思いますし、今後に繋がる戦いになったと思います。

　松山選手は不調ながらも、最終的には蟬川選手、久常選手と同じ30位タイ。自分的には納得できるプレーが1日もできなかったと思いますが、スイングはいいときの状態までもう少しのところまで来ているという話も聞こえてきます。彼自身が納得のいくショットができるようになれば、すぐにでも優勝争いに加わってくるはず。「ファーマーズインシュランス」辺りで上位争いに加わってくれるんじゃないかと密かに期待しています。

　桂川選手は、3日目（39、37＝76）が響いて下位に沈みましたが、最終日は67。最後にいいプレーができたので、彼なりに手応えを感じているのではないでしょうか。

　さて、次週は「ザ・アメリカンエキスプレス」。学生の頃、PGAウエストスタジアムコースの近くに住んでいて、プレーもしたことがあるのですが、グリーンには花道が存在せず、池やバンカーに囲まれているという、ピート・ダイならではのコースに完全に打ちのめされました。それこそ、「こんな難しいコースがあるのか」と思ったくらい。ハザードに囲まれたグリーンも、砂漠地帯ゆえに固くて速い。

　それ故、ボールをポイントにしっかり置くという正確性とスピンコントロールが必要になってきます。今の選手たちはテクニックに長けていますが、その技術をどこでどう使うか。そういう意味ではマネージメント能力が問われるわけですが、上手くハマればどの選手にも優勝のチャンスが訪れると思います。日本人選手は久常選手と蟬川選手が出場の予定。大いに期待したいと思います。

（写真：Getty Images）