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解説者も震えた松山英樹の6打差逆転優勝、ポイントは最難関ホール12番のバーディー【内藤雄士のPGAツアーアフタートーク】
2024年2月22日(木)午後2:00
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今季3試合目のシグニチャーイベント、「ザ・ジェネシスインビテーショナル」が米・ロサンゼルスのザ・リビエラカントリークラブで開催され、松山英樹選手が2年ぶりに優勝を飾りました。最終日、6打差の7位タイでスタートした松山選手。1~3番で3連続バーディーを奪ったほか、10~12番、15~17番でも3連続バーディーを奪取し、気がつけば2位に3打差の17アンダーで頂点に立ちました。日本中が歓喜した一戦を、ゴルフネットワークで解説を務めたPGAティーチングプロの内藤雄士さんに振り返ってもらいました。
そんな状態であったにもかかわらず、フェデックスランキングで50位以内に入ったのは、松山選手のすごさと言っても過言ではないでしょう。本人は、「順位はあまり気にしていなかった」と言っていましたが、50位以内に入ったことで、シグニチャーイベントである「ザ・ジェネシスインビテーショナル」にも出場できたわけですから、首の痛みを堪えながらの戦いも決して無駄ではなかったようです。
勝因は、本人の優勝後のコメントにもあったように、ショートゲームにありました。パッティングは、松山選手自身、「4日間、ミスパットがほとんどなかった」と言うほど安定していたし、アプローチも本当に素晴らしかった。また、コーチ目線で見ていて、ショートゲームだけでなく、スイングもいい状態になりつつあるように思いました。松山選手の理想のスイング、理想の球筋にはほど遠いのかもしれませんが、以前に比べてバランスは格段に良くなっていて、首の痛みの不安がなく練習できていることを感じました。
とはいえ優勝に関しては、正直言って予想していませんでした。パトリック・キャントレーが初日から飛ばしていたので、そのままいくものとばかり思っていました。特に彼はUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)卒業という地元の選手。ギャラリーの声援も大きく、本人も勝ちたいという思いが強いことが分かっていたので、流れはキャントレーにあると思っていました。松山選手に関しては、「優勝争いに絡んでくれないかな」という淡い期待は抱いていた程度。ところが途中から「もしかして追いつくかも」と思い始め、気がついたら追いつき、追い越していたという感じ。あれよあれよという間の勝利でした。
出だしの3連続バーディーを含む3度の3連続バーディーは圧巻でしたが、大きなポイントとして挙げたいのは、最難関ホールの12番パー4。ピンと反対側のロングサイドに乗せて、難しいパットを真中から決めてバーディーを奪取。あの場面は、解説をしていて震えました。
この優勝で、松山選手に対する期待値が一気に上がった人も多いのではないでしょうか。私も前々から、「年間の複数回優勝はもちろん、キャリアグランドスラム(メジャー大会を全て制覇すること)は必ず取って欲しい」と一方的に伝えているのですが、今回の勝利でその夢もにわかに現実味を帯びてきたような気がします。
今季に関しては、メジャーではありませんが、まずは「ザ・プレイヤーズチャンピオンシップ」(3/14~17、TPCソーグラス)で2024年の2勝目を狙ってもらいたい。2019年の同大会で、松山選手は初日63という好スコアでトップに立っていたのですが、大会自体がコロナウイルスの影響で中止に。そのときの悔しさは今も忘れていないはず。今年は“ワイヤーtoワイヤー”での優勝(初日からトップを守りきっての優勝)を飾ってほしいですね。また、松山選手には終身シードも目指してもらいたい。PGAツアーの場合は、20勝が条件。彼なら実現可能だと思います。
さて来週は、メキシコで行われる「メキシコオープン」が開催されます。期待は、今季からPGAツアーに挑戦している久常涼選手。とても調子が良さそうですし、松山選手の優勝に刺激を受けて爆発してくれるんじゃないかと。メンタルの要素が強いゴルフの場合、相乗効果というのが絶対にあるはずで、そういう意味では、大いに期待できます。
また、松山選手が勝ったからいうわけではありませんが、今季のPGAツアーは本当に面白い試合が続いています。若手も台頭してきた一方、中堅、ベテランも奮闘しています。大げさではなく見逃せない試合が続きますので、松山選手、久常選手の活躍を期待しながら、今後もPGAツアーを楽しみましょう。
(写真:Getty Images)
ショートゲームが冴え渡った4日間、ショットも復活の兆し
松山英樹選手のすごさを改めて知った4日間でした。実は昨年末、松山選手と話をする機会があったのですが、そのとき「2023年は首の痛みに苦しむ中で、アイアンショットも思うような飛距離が出なくて相当苦しんだ」と漏らしていました。フルショットをすると首が痛くなるので、8番の距離を7番で打つもボールが飛んでくれずにショートしたこともあったとか。本当に辛い1年間だったようです。そんな状態であったにもかかわらず、フェデックスランキングで50位以内に入ったのは、松山選手のすごさと言っても過言ではないでしょう。本人は、「順位はあまり気にしていなかった」と言っていましたが、50位以内に入ったことで、シグニチャーイベントである「ザ・ジェネシスインビテーショナル」にも出場できたわけですから、首の痛みを堪えながらの戦いも決して無駄ではなかったようです。
勝因は、本人の優勝後のコメントにもあったように、ショートゲームにありました。パッティングは、松山選手自身、「4日間、ミスパットがほとんどなかった」と言うほど安定していたし、アプローチも本当に素晴らしかった。また、コーチ目線で見ていて、ショートゲームだけでなく、スイングもいい状態になりつつあるように思いました。松山選手の理想のスイング、理想の球筋にはほど遠いのかもしれませんが、以前に比べてバランスは格段に良くなっていて、首の痛みの不安がなく練習できていることを感じました。
とはいえ優勝に関しては、正直言って予想していませんでした。パトリック・キャントレーが初日から飛ばしていたので、そのままいくものとばかり思っていました。特に彼はUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)卒業という地元の選手。ギャラリーの声援も大きく、本人も勝ちたいという思いが強いことが分かっていたので、流れはキャントレーにあると思っていました。松山選手に関しては、「優勝争いに絡んでくれないかな」という淡い期待は抱いていた程度。ところが途中から「もしかして追いつくかも」と思い始め、気がついたら追いつき、追い越していたという感じ。あれよあれよという間の勝利でした。
出だしの3連続バーディーを含む3度の3連続バーディーは圧巻でしたが、大きなポイントとして挙げたいのは、最難関ホールの12番パー4。ピンと反対側のロングサイドに乗せて、難しいパットを真中から決めてバーディーを奪取。あの場面は、解説をしていて震えました。
この優勝で、松山選手に対する期待値が一気に上がった人も多いのではないでしょうか。私も前々から、「年間の複数回優勝はもちろん、キャリアグランドスラム(メジャー大会を全て制覇すること)は必ず取って欲しい」と一方的に伝えているのですが、今回の勝利でその夢もにわかに現実味を帯びてきたような気がします。
今季に関しては、メジャーではありませんが、まずは「ザ・プレイヤーズチャンピオンシップ」(3/14~17、TPCソーグラス)で2024年の2勝目を狙ってもらいたい。2019年の同大会で、松山選手は初日63という好スコアでトップに立っていたのですが、大会自体がコロナウイルスの影響で中止に。そのときの悔しさは今も忘れていないはず。今年は“ワイヤーtoワイヤー”での優勝(初日からトップを守りきっての優勝)を飾ってほしいですね。また、松山選手には終身シードも目指してもらいたい。PGAツアーの場合は、20勝が条件。彼なら実現可能だと思います。
さて来週は、メキシコで行われる「メキシコオープン」が開催されます。期待は、今季からPGAツアーに挑戦している久常涼選手。とても調子が良さそうですし、松山選手の優勝に刺激を受けて爆発してくれるんじゃないかと。メンタルの要素が強いゴルフの場合、相乗効果というのが絶対にあるはずで、そういう意味では、大いに期待できます。
また、松山選手が勝ったからいうわけではありませんが、今季のPGAツアーは本当に面白い試合が続いています。若手も台頭してきた一方、中堅、ベテランも奮闘しています。大げさではなく見逃せない試合が続きますので、松山選手、久常選手の活躍を期待しながら、今後もPGAツアーを楽しみましょう。
(写真:Getty Images)
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