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「この歳で目指すべきものがあるのは幸せ」全米シニアオープン2位藤田寛之プロ単独インタビュー

2024年7月4日(木)午前11:54

 米ロードアイランド州のニューポートカントリークラブで開催された「第44回全米シニアオープンゴルフ選手権」で、藤田寛之プロが2位に入りました。5日間の長丁場となった今大会。プレーオフ4ホール目でリチャード・ブランド(イングランド)に屈しましたが、その戦い振りは多くのゴルファンに感動を与えました。その藤田プロが、試合後にCSゴルフネットワークの単独インタビューに応じ、大会の模様を振り返っていただきました。(聞き手:ゴルフスイングコンサルタント吉田洋一郎氏、皆藤慎太郎アナウンサー)
 
ゴルフに対する準備は1年365日しているので特別な準備をすることはないですね

皆藤 5日間という長丁場の戦いを終えて、現在の率直な気持ちを聞かせてください。

藤田 やっぱりトップにいただけに、“残念”という言葉がまず出てきますよね。ただ、レギュラー時代を含めて、これまでメジャーといわれる大会で30位以内に入ったことがなかったので、そういう点では2位というのは悪くはないし、大会を通じて非常にいい戦い、いいゴルフができたと思っています。

皆藤 今回の全米シニアオープンに向けてはどんな準備をされたんですか?

藤田 ゴルフに対する準備は1年365日しているので、メジャーだからといって特別な準備をすることはないですね。技術的なところでは、例えば4番アイアンを持っていくとか、今回リンクスだったのでウェッジを2種類持っていくということはやりましたけど、普段通り戦いました。

皆藤 ニューポートカントリークラブはどんなコースでしたか。

藤田 予想通り、リンクス風でした。5月の「全米プロシニア」の舞台となったザ・ゴルフクラブ at ハーバーショアズ(ミシガン州)は、グリーンのアンジュレーションが強く、ハザードもグリーンに迫っていましたが、今回は、花道があって、グリーンもガチガチにガードされているという感じではなく、転がしていけるルートがありました。

吉田 今回、ショットが素晴らしかったのですが、何か工夫されたことはあったのですか。

藤田 ここ数年、フェースが開いてしまうことを悩んでいて、師匠である芹澤信雄プロにも相談していたんですが、同じチーム芹澤の遠藤正人プロが、アマチュアへのレッスンで、「ボールを投げる動きでやりましょう」と言っていたのを聞きましてね。そのことは僕も昔から知っていたんですが、「下半身から戻して最後にリリース」という動きを意識したら、フェースが勝手に戻ってくるようになったんですよ。まだ完璧ではないのですが、そのおかげでドライバーの当たりも厚くなり、アイアンも安定したような気がします。

吉田 72ホール目の18番ホール、セカンドショットは少し前下がりのライからドローを打たれたじゃないですか。あれはどういう狙いだったんですか?

藤田 グリーンエッジまで220ヤードくらい、ピンまで上りをいれると245ヤードのアゲインスト。しかもつま先下がりで左足上がり。僕は5Wしか入れていなくて、どうやってグリーンにボールを持っていくかを考えたとき、ああするしかなかったというのが本当のところです。5Wでも吹き上がったら飛距離が180ヤードくらいになる状況なので、ちょっと無理やりですけど、フックを打っていきました。大会を通じて18番ホールは、正直、自分にとっては厳しかったですね。毎回250ヤードのアゲインストのセカンドが残るんで、5Wでどうしたらいいんだろうみたいな状況でした。

吉田 でもあのショットには感動しました。こういうショットがこの場面で打てるのかと。

皆藤 18番のセカンドショット打つ前、ブランドが18番ボギーで、13アンダーに落としたっていうのは分かっていましたか?

藤田 いや、拍手が聞こえたので、てっきりパーをセーブしたと思っていました。だから、無理してでも何とかピンの近くまで持って行きたいと。自分で言うのも何ですが、あのショットは良かったですね。アゲインストで230ヤードぐらい飛んでいましたからね。グリーンに行ってからスコアを確認して、ブランドがボギーを叩いたということが分かったんで、「これを入れたら優勝」みたいな感じになっていましたけどね(笑)。

吉田 毎回、海外メジャーに出るたびにモチベーションが上がると同時に、いろんな課題が見つかるという話をされていましたけど、今回も何か見つかりましたか。

藤田 順位が30位以内をキープできない中で、飛距離だったり、アイアンショットだったり、ペタペタの硬いところのアプローチだったり、グリーンに止めるスピンショットだったりといったところをいつも足りない部分として感じていたんですけど、今回に関しては、足りないなと思うことが少なかったような気がします。

吉田 今後、PGAツアーチャンピオンズ(米国シニア)に参戦するということも考えていらっしゃいますか?

藤田 (メジャーで)30位にも入ったことない選手だったんでね(笑)。優勝したらチャンピオンズに出られるんだということは考えましたけどね。
 
海外でもらう課題に「もっと上手くなりたい」

吉田 最終日の朝は緊張したというお話がありましたが、やっぱり2回朝を迎えるっていうのは嫌ですよね。

藤田 2回を朝迎えて、しかもその2回目が残り8ホールってのもなかなかね(笑)。1ラウンドと8ホールというのは微妙に違いますからね。それと、最終日は風が北風に変わったんですよ。練習ラウンドを含めて全部南西の風でしたからね。海外のコースって風が変わると全然変わってしまうので、あの18番も5Wで届かないなんていいましたが、それまではPWとか9番アイアンで打っていた。それくらいコースが変わってくるんです。少し風が変ることに反応し過ぎたかもしれませんが、別のコースになったみたいな感じだったんで少し戸惑いました。

 それまでワンパターンでやってたものが、もう一度考え直さなければいけなかったりとか。勝負が決まったホールも、花道からのアプローチで、アゲインストが強かったんで、スピンがかかることを想定して58度じゃなくて54度でピンの根っこまで行こうと思ったんですが、自分では突っ込んだつもりがあれぐらいしか飛ばなかった。今考えると50度でも良かったのかなって。海外でもらう課題というのはそういうところですね。なぜ日本ではあの状況が起きないのか(笑)。そういう練習ができないんですよね。「これ初めてなんで、どうやって打てばいいんですか」みたいなね。日本人選手はいつもそんなことばっかり言ってると思うんですけど、まあそれが楽しみでもあるというか、刺激にもなると思うし、もっと上手くなりたいという気持ちにもなるんですけど。

吉田 それって洋芝の対応という部分もあるんですか。

藤田 多々ありますね。薄いライからボールだけをヒットしていく打ち方を覚えなければいけない。僕の場合、高麗の浮いたボールをハンドファストで少し潰すイメージで、ソールを手前から滑らせながら低いボールで打ってスピンをかけてピンに寄せていくという感じなんですけど、こっちではその打ち方するとバンスが跳ねる。バンスがないウェッジも用意するんですけど、そもそもの打ち方が違いますかね。あとラフでの打ち方も、高麗は振り切れるし、飛んでいきますけど、こっちは全く振り切れないんで、どうやって上から打ち込むのか、それともフォロースルーで飛ばすのか、といったことで悩みますね。海外の試合に出るたびに、アプローチ練習場で他の選手を見て勉強をしています(笑)。

吉田 PGAツアーチャンピオンズの解説をしている者としては、ぜひ藤田選手に参戦してもらって、ベルンハルト・ランガー選手(独)を倒すところを見たいなと。

藤田 倒すなんてとんでもない(笑)。恐れ多いですよ。技術は本当にすごいんで。

吉田 その技術を吸収されて、YouTubeとかで発信していただくと日本のゴルファーのためにもなると思いますし、もちろん結果を出していただいて、日本のゴルフ界の歴史を変えてもらいたいなっていう思いを今回改めて感じました。

藤田 自分自身、「優勝したらチャンピオンズに行けるんだ」と思うと、それだけでなんかドキドキしましたからね。それが良くなかったのかも(笑)。

吉田 参戦も考えられているんですね。

藤田 行けるものなら行ってみたいと思いますが、年間通してアメリカを点々とするというのは、現実として捉えられなくて。ただ、同じチーム芹澤の宮本(勝昌)プロなんかは、「チャンピオンズ行きたい」といって、QTから頑張っていますしね。この年になって、目指すべきところがあって、こうやってやらせていただいていることが本当に幸せです。たくさんの応援もいだいて本当にありがとうございました。ただ本音を言えば、あのトロフィーを持って帰りたかったですけどね。

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2024 全米シニアオープンゴルフ選手権
6月27日(木)~6月30日(日)

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