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苦しいときも「笑顔」でメンタルコントロールした39歳ジョナサン・ベガスの7年ぶり優勝

2024年8月1日(木)午後0:53

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 ミネソタ州にあるTPCツインシティーズで開催された「3Mオープン」では、17年の「RBCカナディアンオープン」を最後に優勝から遠ざかっていたベネズエラ出身のジョナサン・ベガスが、2位に1打差の17アンダーで頂点に立ちました。激しい攻防が繰り広げられた大会の模様を、海外のゴルフに精通するゴルフスイングアナリストで、今大会の解説を務めた吉田洋一郎氏に振り返ってもらいました。
 
終盤ひっくり返されるも驚異の粘りで再逆転


 本当に激しい戦いでした。特に最終日は、ピンポジションが厳しく、バーディー合戦となった3日目とはうってかわって、我慢比べの様相を呈していました。しかもその中で、マックス・グレイザーマン(米)がスコアを伸ばしてきたことで、誰が優勝するのか、最後の最後まで分からない展開になりました。

 まずは頂点に立ったジョナサン・ベガスについて。他の選手同様、3日目は乗りに乗っていて、楽しそうにプレーをしていたのですが、最終日は出だしの1番パー4でボギーとつまずき、4番パー3のバーディーで元に戻したものの、9番パー4で池に入れて再びスコアダウン。3日間で16アンダーと、今大会、得意としていたバックナインに入っても、確実にバーディーを奪いたかった12番パー5でスコアを伸ばせず(結果はパー)、さらに13番パー4でボギーを叩き、一時はグレイザーマンに抜かれてしまいました。

 しかし、追う立場になって気持ちが吹っ切れたのか、15番パー4でバーディーを取ってからは本来の攻めのゴルフを思い出し、18番パー5でもバーディーを奪って見事頂点に立ちました。

 勝因を挙げるとするのなら、やはり18番でしょう。ティーショットをフェアウェイのど真ん中に運び、セカンドショットは少し引っかけてしまいましたが2オンに成功。30メートルのイーグルパットが残ったんですが、これを2パットで沈めました。

 特に素晴らしかったのは、30メートルを2パットで沈めたこと。30メートルともなると、平らなところでも寄せるのが難しいものですが、上ったあと下るラインで、その下り傾斜が速く、少しでも強過ぎたら大オーバーになってしまうというライン。どうやって尾根の頂上まで打つのかに注目していたのですが、ファーストパットを1m弱に寄せたことで、勝利を確実にしました。7年ぶりの優勝がかかるという緊張した場面で、あのパッティングができたのは、素晴らしいのひと言に尽きます。

 そのベガス、印象的だったのは、プレー中に笑顔が見られたことです。ベガスといえば、いつも厳しい顔しているというのが、私が抱いていたイメージだったのですが、この大会では笑顔でキャディーと談笑するようなシーンが結構見られました。

 メンタル的にも、最終日の18番でセカンドショットを打つ前、ゆっくりとした動作でボールに近づくなど、自分自身でしっかりコントロールできているように見えました。昨シーズン、右ヒジを痛めたことで、今季は公傷制度利用して試合に出場。しかし、この試合までは調子が上がらず、70位以内に食い込むのが厳しい状況だったわけですが、優勝を飾ったことで来季のシード権も手にしました。怪我をしたことで苦しい時期を過ごしたと思いますが、その期間中、家族との時間を大事にしたり、メンタル面を見つめなしたりしたことが、今回の優勝に繋がったのではないかと思います。

 一方、優勝には届きませんでしたが、グレイザーマンの健闘は大いに称えたいと思います。最終日、上位の選手がスコアメイクに苦しむ中、63という見事なスコアを叩き出し、一時はトップにも立ちました。彼の躍進の要因となったのは、パッティング。5~10メートルをポンポン入れてきて、特にバックナインは、全部入れるんじゃないかと思うくらい爆発力がありました。

 日本人選手は、久常涼選手が出場したのですが、残念ながら予選落ち。何とか結果を出したいという気持ちが焦りに繋がったのかもしれませんが、ここは気持ちを切り替えるしかありません。次戦の「ウィンダムチャンピオンシップ」に向けて、しっかりと準備をして欲しいと思っています。

 そのウィンダムチャンピオンシップですが、70位以内を目指す選手たちにとっては最後の戦いになります。例年、ここで一気にジャンプアップする選手もいれば、弾き出される選手もいるということで、今年も過酷な大会になることは間違いありません。そんな追い詰められた状況で、各選手がどんなプレーを見せてくれるのか。プロたちの1打1打にかけた必死の戦いをお見逃しなく。

(写真:Getty Images)

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