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逃げ切りが苦手なキーガン・ブラッドリーがトップを守れた最終日のコースセッティングの妙

2024年8月30日(金)午前10:38

 プレーオフシリーズの第2戦「BMWチャンピオンシップ」が、キャッスルパインズゴルフクラブで開催され、最終日1打差のトップでスタートしたキーガン・ブラッドリーが、1打差を守り切り頂点に立ちました。今年7月には、2025年ライダーカップの主将に任命されたブラッドリー。38歳のベテランは4位という好位置で最終戦の「ツアーチャンピオンシップ」に臨むことになりました。今大会の解説を務めたプロキャディーの杉澤伸章さんに激戦の模様を振り返ってもらうとともに、最終戦の展望も語ってもらいました。
 
守りに徹したショットメーカーのキーガンと「いい仕事」をしたキャディ
 優勝したのは、38歳のベテラン、キーガン・ブラッドリー。私の中で、ブラッドリーは「逃げ切るのが苦手」というイメージが強く、実際、最終日トップでスタートした6~7回のうち、1度しか優勝していないと思うのですが、今回はそのジンクスを見事に破ってくれました。

 実は“逃げ切り”の予感は、最終日のスタート前にありました。その要因は、最終日のピンポジションが、エッジの近くに設定されていて、“追いかける選手”には不利なセッティングになっていたこと。特に10~18番のバックナインは、全てのピンがエッジから近く、こういう所にピンを切られるとなかなか攻めきれないものです。

 しかも、開催コースのキャッスルパインズGCは、標高1,900mという高地にあり、ボールが10%近く飛んでしまう。さらに付け加えれば、優勝争いをしている選手はアドレナリンが出ているので、エッジぎりぎりに落とすことが難しい。

 例えば、150ヤードを9番やPWで打つ人は、その距離を52度や56度で打たなければならないわけですが、手前にバンカーや池があると、少しだけ強く当てていこうということになって、結果的にオーバーしてしまうのです。現に最終日のバックナインで2オーバーを叩いたアダム・スコット(最終順位2位タイ)は、残り107ヤードのショットをオーバーしていました。逆にブラッドリーは、このピンポジを見て、「守りに徹すればいける」と思ったはず。そういう点から考えると、ショットメーカーであるブラッドリーが勝つのは必然だったのかもしれません。

 ゴルフファンの中には、「10%飛ぶんだったら、その分引けばいいのでは」と思う人もいるでしょうが、そう単純にはいかないもの。というのも、10%というのはミドルアイアンの場合で、ショートアイアンやロングアイアンになると微妙にパーセンテージが変わってくる。さらに、キャッスルパインズGCはアップダウンのあるコースなので、最も高いところと低いところとでは高低差が100m前後ある。それに加え、各ホールの打ち上げや打ち下ろしを計算しなければならないので、タテ距離をピタッと合わせるのは至難の業なのです。

 そんな中で「いい仕事をしているな」と思ったのは、ブラッドリーのキャディー。クラブ選択のとき、「多分これで届く」というようなアバウトなものではなく、「先週と同じような距離、状況のときにこのクラブを使って成功したから、今回もこれでいこう」と過去のデータをもとにきちんと説明していました。特に17番のパー5のセカンドでは、ブラッドリーもその説明に大いに納得したのか、思い切り振り切っていた。その通りに打ったブラッドリーもさすがですが、キャディー目線で言わせてもらえれば、あのショットが生まれるまでのプロセスの素晴らしさに感動しました。

 また、ブラッドリーが勝ち切れたのは、2025年のライダーカップ主将に選ばれていたことも大きな要因になったと思います。ラウンド途中で、期せずして起こったUSAコール。彼のモチベーションはグッと上がったはずです。この大会には50位で参加して、最終戦は4位で迎える。年間チャンピオンも夢ではなくなってきました。

 さて、いよいよ最終戦となる「ツアーチャンピオンシップ」(イーストレイクゴルフクラブ)が始まっています。ランキング1位のスコッティ・シェフラーが10アンダー、2位のザンダー・シャウフェレが8アンダー、3位の松山英樹選手が7アンダーからスタートと、普段のトーナメントとは違うレギュレーションになりますが、選手にしてみれば4日間ベストを尽くすのみ。最終戦ということもあって、持てる力をフルに発揮したアグレッシブなプレーを見せてくれると思うので、大いに楽しみたいと思います。

 年間チャンピオンを狙える位置にいる松山英樹選手は、前週欠場の要因となった腰痛が気になるところですが、なんとか間に合いそうな雰囲気。チーム松山一丸となって頑張って欲しいところです。

 また、最終戦の先には、米国選抜と世界選抜による対抗戦「プレジデンツカップ」もあるので、選手たちはそこに向けても状態を上げてくるでしょう。まだまだ眠れない日々が続くと思いますが、体長管理に気をつけて、ゴルフ中継を大いに楽しんでください。

(写真:Getty Images)

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