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今年はマキロイの年になる!?マスターズ制覇&グランドスラム達成への期待と心配のタネ【佐藤信人&内藤雄士のPGAツアーアフタートーク】
2025年3月20日(木)午後0:09

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“第5のメジャー”ともいわれる「ザ・プレーヤーズチャンピオンシップ」。名匠ピート・ダイ設計のTPCソーグラス(フロリダ州)で行われた大会は、翌日に3ホールで争われるというプレーオフにもつれ込み、好調のローリー・マキロイがJ.J.スポーンを下して今季2勝目を飾りました。
日本人選手は、松山英樹選手と久常涼選手が出場しましたが、残念ながら決勝ラウンドに進めず。同大会の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めた佐藤信人プロと、PGAティーチングプロの内藤雄士さんに振り返ってもらいました。
佐藤 さすがマキロイというところですが、プレー順が大きな影響を与えたような気がします。以前、プレーオフは、オナーをくじで決めていましたが、現在は最終日に先にホールアウトした選手がオナーを務めるというシステム。先に打ったマキロイがフェアウェイのど真ん中にボールを置いたというのが勝負を分けたような気がします。
内藤 そうですね。実績もあるし、飛距離でも勝るマキロイにあの球を打たれて、J.J.スポーンも少し力んだのかもしれません。なにしろ3ホールの短期決戦。マキロイが先手を取ったのは大きかったと思います。
佐藤 それでもまだ、スポーンが3打目のバンカーショットを寄せてバーディーで上がっていれば、イーブンのまま17番パー3に入ったので、少しは違った展開になっていたでしょうが。1打ビハインドで迎えた17番パー3でも先にマキロイにグリーンに乗せられて、さらにプレッシャーがかかったのでしょう。本人は、「狙い通りの球だった」と言っていましたが、ティーショットは痛恨の池ポチャになりました。
内藤 おそらく自分では予想していなかった力の入り方をしてしまい、ハンドファーストが強くなってボールが飛び過ぎたのでしょう。18番パー4を迎える前に3打差が付き、勝負はほぼ決まってしまいました。それはそうと、その18番ですが、なぜマキロイはドライバーを持ったのでしょうね。あそこはアイアンで打つべきかと。
佐藤 そうなんですよ。特に今年のマキロイは「マスターズ」を強く意識していて、スコッティ・シェフラーのような手堅いマネージメントが大事だということをジャック・ニクラウスやタイガー・ウッズに言われていましたからね。
内藤 アイアンでフェアウェイに置いておけば、スポーンも完全に諦めたはずなのに。
――そのスポーンですが、やはりプレーオフは緊張していたのでしょうか。
佐藤 3日目も序盤はかなり緊張していて、自分でも「ビビっていた」というような表現をしていましたからね。どちらかというと、追いかける立場になると強みを発揮するタイプのようですが、プレーオフは3ホールの短期決戦なのでそうはいかなかった。
――プレーオフが翌日行われたというのもスポーンにとっては不利だった?
佐藤 それはありますね。そもそもスポーンはプレーオフが翌日にあるということを知らなかったみたい(笑)。意外と“選手あるある”なんですけど、ひと晩過ごして、次の日ガチンコで3ホール勝負。これはきつい。
内藤 しかも相手がマキロイですからね。
佐藤 負けて悔しいとは思いますが、今回の2位でランキングも上がり、「マスターズ」も出場できそうですからね。前を向いて欲しいですね。
――それにしてもマキロイは好調です。
佐藤 マスターズに向けて、いい状態をキープしています。マスターズの前に2勝したのは初めてのこと。それだけにあまり余計なことはせずに、“普通”にマスターズを迎えてほしい(笑)。昨年、直前にブッチ・ハーモンに会いに行ったりしていましたが、今回も先週急に道具を替えていました。結果的に合わなくて、最終日に元のクラブに戻して、「マスターズまで替えない」と言っていましけど(笑)。
内藤 意気込みが裏目に出なければいいですね。2019年に北アイルランドで開催された全英オープンでも、ホームコースのロイヤルポートラッシュゴルフクラブということで意気込んでいたら、スタートホールのティーショットをアイアンで打ってOBしてしまった、なんてことがありましたからね。
佐藤 今年のメジャーは、マキロイから目が離せません。「全米プロ」はマキロイが最も得意とするクエイルホロークラブ(ノースカロライナ州)だし、「全英オープン」は前回のリベンジがかかるロイヤルポートラッシュ。今年はマキロイの年になるかもしれません。
内藤 調子がいいので楽しみです。しかもシェフラーの調整が遅れている。
佐藤 ザンダー・シャウフェレも出遅れていますからね。チャンスですよ。
――今大会、日本人は松山英樹選手と久常涼選手が出場しましが、残念ながらともに予選落ちでした。
佐藤 松山選手に関しては、路頭に迷うほどではないような気がします。流れさえつかめばポンと上位に来るような状態だと思います。
――このあと、ビッグトーナメント続きます。
佐藤 松山選手はマスターズに照準を合わせてくるでしょうから、「テキサスチルドレンズ ヒューストンオープン」できっかけをつかんでオーガスタに入ってほしいですね。
――次戦の「バルスパーチャンピオンシップ」は、久常涼選手、星野陸也選手、大西魁斗選手、金谷拓実選手という日本人選手4人が出ますが、内藤さん、コーチをしている大西選手の調子はいかがですか?
内藤 パッティング以外はいいみたいですね。特にショットはすごく手応え感じていると言っていました。今季は、惜しい予選落ちが多く、フラストレーションが溜まっていると思うので、「バルスパー」できっかけをつかんでもらって、上位争いに絡んで欲しいですね。また、大西選手だけでなく、日本人選手みんなで上位にいくことで、相乗効果を期待したいですね。松山選手はもちろんですが、それ以外の選手も上位争いできるポテンシャル持っている選手たちですからね。
佐藤 「バルスパー」はマスターズに向けて、どの選手が調子を上げてくるのかも気になるところ。ジョーダン・スピースのように「バルスパー」を勝って「マスターズ」を勝った選手もいますからね。大いに注目したいと思います。
(写真:Getty Images)
日本人選手は、松山英樹選手と久常涼選手が出場しましたが、残念ながら決勝ラウンドに進めず。同大会の模様を、ゴルフネットワークで解説を務めた佐藤信人プロと、PGAティーチングプロの内藤雄士さんに振り返ってもらいました。
プレーオフ1ホール目のティーショットで勝負あり!?スポーンにとっては不利だった翌日のプレーオフ
――ローリー・マキロイがプレーオフを制し、今季2勝目を挙げました。佐藤 さすがマキロイというところですが、プレー順が大きな影響を与えたような気がします。以前、プレーオフは、オナーをくじで決めていましたが、現在は最終日に先にホールアウトした選手がオナーを務めるというシステム。先に打ったマキロイがフェアウェイのど真ん中にボールを置いたというのが勝負を分けたような気がします。
内藤 そうですね。実績もあるし、飛距離でも勝るマキロイにあの球を打たれて、J.J.スポーンも少し力んだのかもしれません。なにしろ3ホールの短期決戦。マキロイが先手を取ったのは大きかったと思います。
佐藤 それでもまだ、スポーンが3打目のバンカーショットを寄せてバーディーで上がっていれば、イーブンのまま17番パー3に入ったので、少しは違った展開になっていたでしょうが。1打ビハインドで迎えた17番パー3でも先にマキロイにグリーンに乗せられて、さらにプレッシャーがかかったのでしょう。本人は、「狙い通りの球だった」と言っていましたが、ティーショットは痛恨の池ポチャになりました。
内藤 おそらく自分では予想していなかった力の入り方をしてしまい、ハンドファーストが強くなってボールが飛び過ぎたのでしょう。18番パー4を迎える前に3打差が付き、勝負はほぼ決まってしまいました。それはそうと、その18番ですが、なぜマキロイはドライバーを持ったのでしょうね。あそこはアイアンで打つべきかと。
佐藤 そうなんですよ。特に今年のマキロイは「マスターズ」を強く意識していて、スコッティ・シェフラーのような手堅いマネージメントが大事だということをジャック・ニクラウスやタイガー・ウッズに言われていましたからね。
内藤 アイアンでフェアウェイに置いておけば、スポーンも完全に諦めたはずなのに。
――そのスポーンですが、やはりプレーオフは緊張していたのでしょうか。
佐藤 3日目も序盤はかなり緊張していて、自分でも「ビビっていた」というような表現をしていましたからね。どちらかというと、追いかける立場になると強みを発揮するタイプのようですが、プレーオフは3ホールの短期決戦なのでそうはいかなかった。
――プレーオフが翌日行われたというのもスポーンにとっては不利だった?
佐藤 それはありますね。そもそもスポーンはプレーオフが翌日にあるということを知らなかったみたい(笑)。意外と“選手あるある”なんですけど、ひと晩過ごして、次の日ガチンコで3ホール勝負。これはきつい。
内藤 しかも相手がマキロイですからね。
佐藤 負けて悔しいとは思いますが、今回の2位でランキングも上がり、「マスターズ」も出場できそうですからね。前を向いて欲しいですね。
――それにしてもマキロイは好調です。
佐藤 マスターズに向けて、いい状態をキープしています。マスターズの前に2勝したのは初めてのこと。それだけにあまり余計なことはせずに、“普通”にマスターズを迎えてほしい(笑)。昨年、直前にブッチ・ハーモンに会いに行ったりしていましたが、今回も先週急に道具を替えていました。結果的に合わなくて、最終日に元のクラブに戻して、「マスターズまで替えない」と言っていましけど(笑)。
内藤 意気込みが裏目に出なければいいですね。2019年に北アイルランドで開催された全英オープンでも、ホームコースのロイヤルポートラッシュゴルフクラブということで意気込んでいたら、スタートホールのティーショットをアイアンで打ってOBしてしまった、なんてことがありましたからね。
佐藤 今年のメジャーは、マキロイから目が離せません。「全米プロ」はマキロイが最も得意とするクエイルホロークラブ(ノースカロライナ州)だし、「全英オープン」は前回のリベンジがかかるロイヤルポートラッシュ。今年はマキロイの年になるかもしれません。
内藤 調子がいいので楽しみです。しかもシェフラーの調整が遅れている。
佐藤 ザンダー・シャウフェレも出遅れていますからね。チャンスですよ。
――今大会、日本人は松山英樹選手と久常涼選手が出場しましが、残念ながらともに予選落ちでした。
佐藤 松山選手に関しては、路頭に迷うほどではないような気がします。流れさえつかめばポンと上位に来るような状態だと思います。
――このあと、ビッグトーナメント続きます。
佐藤 松山選手はマスターズに照準を合わせてくるでしょうから、「テキサスチルドレンズ ヒューストンオープン」できっかけをつかんでオーガスタに入ってほしいですね。
――次戦の「バルスパーチャンピオンシップ」は、久常涼選手、星野陸也選手、大西魁斗選手、金谷拓実選手という日本人選手4人が出ますが、内藤さん、コーチをしている大西選手の調子はいかがですか?
内藤 パッティング以外はいいみたいですね。特にショットはすごく手応え感じていると言っていました。今季は、惜しい予選落ちが多く、フラストレーションが溜まっていると思うので、「バルスパー」できっかけをつかんでもらって、上位争いに絡んで欲しいですね。また、大西選手だけでなく、日本人選手みんなで上位にいくことで、相乗効果を期待したいですね。松山選手はもちろんですが、それ以外の選手も上位争いできるポテンシャル持っている選手たちですからね。
佐藤 「バルスパー」はマスターズに向けて、どの選手が調子を上げてくるのかも気になるところ。ジョーダン・スピースのように「バルスパー」を勝って「マスターズ」を勝った選手もいますからね。大いに注目したいと思います。
(写真:Getty Images)
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