勝てばきっと必然 E.コンプトンの全米オープン
2015年6月19日(金)午後4:58
待ちに待った全米オープンが開幕。メジャーということで、メディアもファンも世界トップクラスのプロに注目しているようだが、ここでは、ある不屈の男にフォーカスしたい。彼の名はエリック・コンプトン。現在の世界ランクは118位で、今季はヒュマナチャレンジin partnership with ザ・クリントンファウンデーションで10位タイとなったが、トップ10はこれだけ。しかもここまでツアー未勝利なわけだから、トップランカーに比べれば成績が見劣りすることは仕方がないだろう。
(写真提供:Getty Images)
しかし、コンプトンには尊敬の念を抱かずにはいられないのだ。ウイルス性心筋症を患っていたコンプトンは、1992年に最初の心臓移植を経験。リハビリの一環でゴルフを再開したが、2008年には2度目の心臓移植手術を受けた。そして、手術から5か月後のツアー復帰戦で60位タイとなったことも驚きだが、今年のコンプトンには信じられない感動のドラマが待っていた。
先日のザ・メモリアルトーナメント presented by ネーションワイドの期間中、飲食店に訪れた時のこと。ウェイトレスが、コンプトンが2度心臓移植をしたことを知ると、彼女の甥がバイク事故で亡くなったと伝えたという。するとコンプトンは、その青年の名前をウェイトレスに聞き、なんと2度目の移植手術で受け取った心臓はその青年のものだったことが判明したというのだ。
それは偶然だったのか、必然だったのか。とにかく、そんな奇跡的なエピソードを披露してくれたコンプトンは現在、臓器提供の大切さを訴える活動を続けている。「誰かが臓器を提供し、誰かの命が救われるなら素晴らしいことだ」。そんなコンプトンのツアーでのプレーに、みんなも感銘を受けているのだ。
昨年の全米オープンでは2位タイに食い込んだが、果たして最難関のコースが立ちはだかる今年はどんなプレーを見せてくれるのか。再び“人生”を与えてくれた青年の親類との出会い、これは奇跡だったのかも知れない。でも、コンプトンがチェンバーズベイで優勝すれば、きっとそれは必然だ。
『インサイド・ザ・PGAツアー#24』より
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