気になる全英対策、強風のリンクスコースを攻略するためのプロたちのクラブセッティングとは?
2015年8月5日(水)午後1:15
1860年から始まった世界最古のメジャー大会「全英オープン」。今年はゴルフの聖地と言われる、セントアンドリュース・オールドコースで行われています。
設計者不明であるがままの自然を活かしたオールドコースは"神が創り給うた"と評されています。海からの強い風、特徴的なポットバンカーに代表される大小のバンカーや変わりやすい天候など多くの特徴があります。
「全英オープン」が行われるリンクスコースでは、硬く起伏の激しい地面や強風、深いフェスキュー芝によるラフなど、普段ツアープロがプレーするコースとは大きく趣きが異なっています。そのため、リンクスに合ったクラブセッティングに変更するプロも少なくありません。
今年のセントアンドリュースは例年よりもウェットな状況ではありますが、初日、二日目を風が選手を苦しめています。
【大会3日目は朝からの強風で中断に(写真提供:Getty Images)】
日没サスペンデッドとなった二日目。第2ラウンド未消化ホールのプレーを大会3日目現地朝7時に再開しましたが、あまりの強風のため現地7時32分に競技中断となってしまいました。
風や風向きによって大きくリーダーボードが入れ替わる全英オープン。自然との戦いとも言える過酷なメジャー、各選手はどのような対策を行っているのでしょうか。
優勝候補筆頭のスピースは、"全米OP仕様"
【全米を制したスピースはセントアンドリュースも攻略となるか(写真提供:Getty Images)】
風が強く、地面が硬いリンクスコースでは、ボールを高くあげてグリーンに着弾させて止めるような、いつもの攻め方が通用しない場合があります。高いボールは上空の強風に流されて、どこにいくかわからない怖れがあり、グリーンも非常に硬いので、直接キャリーしても傾斜にはじかれて、あらぬ方向へと転がってしまう事があります。
さらにメジャー大会ということで距離も7,297yと長めな上、強いアゲンストの風が吹くと大きく飛距離が落ちてしまいます。そのため風に負けない低めの弾道で、なおかつ飛距離が稼げるようなクラブを入れるケースが多いようです。
「マスターズ」、「全米オープン」を制し、年間グランドスラムへの期待が膨らむ、優勝候補No.1のジョーダン・スピースは、いつものウッド型ユーティリティーではなく、中空構造のアイアン型ユーティリティーをバッグに入れています。
これは以前の記事でも紹介したように、「全米オープン」でも採用していたセッティング。今年、「全米オープン」が行われたチェンバーズベイGCは、砕石場の跡につくられたリンクス風の設計。地面が硬く、傾斜の起伏もきついというコースでした。
セントアンドリューズ・オールドコースに代表されるリンクスコースも同様の特徴があり、スピースは「全米オープン」でも活躍した、アイアン型ユーティリティーをチョイスしたというわけです。
今週のスピースは、この中空構造のアイアン型ユーティリティーを多用。高さを抑えたライナー性の弾道を使ってコースを攻略しています。
日本のコースとは異なるリンクスコース、日本勢の全英対策は?
【全英オープン2年連続3度目出場の岩田寛(写真提供:Getty Images)】
松山英樹プロを除く日本勢は予選落ちが濃厚となってしまいましたが、各選手は全英に向けて様々なセッティングで臨んでいました。
小田孔明、岩田寛、高山忠洋の3名はクラブ契約が同じメーカー。3人とも同じモデルのアイアン型ユーティリティーを使用していますが、今まで使用していたシャフトを、新しいカーボンシャフトに変更したものを全英対策として使用しています。
小田孔明プロと岩田寛プロは、普段はスチールシャフトを選択していましたが、スチール感覚で振れるこの新開発のカーボンに変更したことで、飛距離を伸ばしているとのこと。これまでと同じようなフィーリングで振ることが出来、なおかつメジャーのセッティングに対応できるように、クラブで飛距離アップを狙っています。
【メジャー制覇の鍵は強風対策となるか?(写真提供:Getty Images)】
松山英樹プロや藤田寛之プロと言った実力者も、全英用にアイアン型ユーティリティーをバッグに入れています。こうしてみると、スピン量が多く、ボールを高くあげることが出来る5番ウッドやウッド型のユーティリティーよりも、アイアンと同じように低い球が打てるアイアン形状のユーティリティーを選択するのは、リンクスコースではもはや常識といえるかもしれません。
さらに、硬い地面に対応するため、藤田寛之プロはウェッジのソールを大幅に削ったものを使用。バウンス角も非常に少なくなっているといいます。全英帰りのプロが、硬い地面に手首を痛めてしまうことがよくありますが、ショットの時になるべく抵抗を押さえたいという意図もあるようです。
池田勇太プロも、アイアン、ウェッジとも全英を意識したソールに変更しています。「リンクスで距離をコントロールしやすい」機能にチューニングを施してあるといいます。
クラブからも見えてくる、プロの技術とリンクスコースの難しさ。決勝ラウンドは、そのあたりに注目してみても面白いでしょう。
ゴルフネットワークでは大会3日目の模様を午後6時から現地日没まで完全生中継でお送りします。ぜひお楽しみに!
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