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松山の不安、石川の緊張を乗り越え、初日10位で好発進！（舩越園子の2016ゴルフワールドカップ）

2017年4月29日（土）午後6:29

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第58回ワールドカップがメルボルン（オーストラリア）のキングストンヒースGCで、いよいよ始まった。

世界各国から28チーム、56人の代表選手がフォーサム形式のストロークプレーで競い合った今日の初日。カップの縁に止まりかけた18番のバーディーパットが最後の一転がりで沈んだスペインが3アンダーと1つ抜け出し、単独首位でホールアウト。1打差の2位には米国、フランス、中国が並んだ。

松山英樹と石川遼がタッグを組んでいる日本は、2番と3番で連続ボギーが先行。4番ですぐさま１つスコアを戻したものの、6番ではダブルボギーを喫して24位まで後退した。だが終盤は15番、16番で連続バーディーを奪い、上がり2ホールはバーディーこそ逃したものの、2人の息が合ってきたことが感じられるプレーぶりを披露して、1オーバー、10位タイと、まずまずの発進だった。

出だしは様子見、徐々に要領を掴んで調子を上げ、最後はスコアを作ったという流れは、日本のみならず、首位に立ったスペインにも2位に付けた米国にも共通していた。日頃から世界各国でプレーしている選手たちであっても、オーストラリア屈指の難コースが試合の日にどんなセッティングとコンディションになっているのかは蓋を開けてみるまでわからない。

さらに言えば、今大会の初日と3日目のフォーサム・ストロークプレーは、ライダーカップなどでチーム戦に慣れている欧米の選手たちにとっても、あまり親しみのないスタイルだ。そして、このワールドカップは3年ぶりの開催ゆえ、若い選手の多くは初出場。こうなると、初日の出だしは誰もが様子見から入るのは自然な流れだが、日本の2人には、さらなる事情もいくつかあった。

今年2月から米ツアーを欠場し、開幕シリーズにはすでに出場したものの、世界の大舞台には久しぶりに立った石川は「最初は緊張して頭が真っ白になった」。平常心を失いかけた緊張状態で立った1番ティ。しかし、ティグラウンドではなくフェアウエイ上からアイアンで自らの第1打を打ったこの日のオルタネート方式は、石川にとって、もちろん松山にとっても、不慣れに不慣れを重ねる形になり、「お互いリズムを取るのが難しいフォーマットだった」（石川）。

前半は「僕のドライバーのミスで足を引っ張った」と振り返った石川は、自分のミスをカバーしてくれた「ヒデキのウエッジはこの風の中で距離を合わせられてすごい」と松山の小技を絶賛。逆に松山は「僕はパットが入らなくて足を引っ張ってしまったけど、最後の方は遼が続けて入れてくれて助かった」と石川のパットを絶賛していた。

今大会の出場選手の中で世界ランキング最上位の松山には開幕前から大きな注目が集まっていた。開幕前日、松山が長時間、パット練習をしていた様子は米国発の記事でも大きく取り上げられた。「グリーン上にフットプリント（足跡）ができるほど松山は長時間、パット練習をしていた」と松山の集中力と熱心な練習ぶりを驚き混じりに描写していたが、当の松山は「僕の体重が重いだけ」。

そんなふうに冗談混じりに返答はしていても、「パットに不安があった」という松山は必死の思いで修正に励んでいたのだろう。それでも初日は短いボギーパットを外した6番あたりは苦しい展開だったが、パットが振るわずともショットは乱さず、石川のショットの乱れを自身の小技でしっかりカバーし続けた松山のプレーぶりは、さすがだった。

終盤の2連続バーディーは圧巻だったが、石川は「僕が3番ウッドで打って、ヒデキがいいところに乗せてくれて、（僕のバーディーパットが）入った16番のバーディーが一番うれしかった」と、うれしそうな笑顔を見せた。松山も「遼もしっかりリカバリーしてくれた」。

明日の2日目は、それぞれが自分のボールでプレーするフォーボール形式。2人のうちのいい方のスコアをそのホールのスコアとして採用するスタイルだが、プレーそのものは通常のストローク戦と変わらないため、今日のフォーサムより、おそらくどの選手も伸び伸びしたプレーができそうである。

石川は「（明日）それぞれが4つ5つずつバーディーを取って、それが（お互い）違うホールにはまれば、1日に8アンダーといったスコアもありうる」と目を輝かせ、松山も「お互い、もう少しずついい感じになれば」と期待を膨らませていた。

開幕前の松山の不安と石川の緊張は、初日を10位で乗り越え、明日からはさらなる活力となり、好スコアにつながっていくのではないだろうか。

首位との4打差を残る3日間で取り返し、追い抜いていってほしい。ワールドカップに3度目の日の丸が揚がる最終日を是非とも実現させてほしい。

文／舩越園子（在米ゴルフジャーナリスト）

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