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「時代の流れとして世界選抜が強くなっていく雰囲気を感じた」ツアープロコーチ・内藤雄士がみたプレジデンツカップ
2019年12月14日(土)午後6:45
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2年に1度開催される米国選抜と世界選抜の対抗戦「ザ・プレジデンツカップ」。3日目まで終わり、米国選抜が8ポイント、世界選抜が10ポイントを獲得し、2ポイント差で15日の最終日を迎えます。同大会を中継するCS放送ゴルフネットワークで解説を務めたツアープロコーチ・内藤雄士さんに、ここまでの大会についてお話を伺いました。
特にアンサー選手は本当に予想していなかったです。ショットも伸び伸びと打っていて、メキシコ出身の明るくいい意味で楽天的なところがよいのではないでしょうか。シンプルにゴルフをしていて、今回台風の目になっています。
若手選手たちの活躍の要因は、スーパーレジェンドであるアーニー・エルスキャプテンが、選手たちに逐一アドバイスをして安心させているとともに、ペアマッチではベテランとルーキーを多く組ませる作戦を取りました。1日目はベテラン同士で鉄板で勝てるチームを作るのかなと思っていたらそこを分けて、ある意味全部のマッチを獲りに来たわけです。それが吉と出るか凶と出るか、仮にベテランが調子悪くて新人が緊張してしまうと全敗もあるなか、タイガー・トーマス組とリーシュマン・ニーマン組ではその雰囲気があったんですが、結果的にはアーニーの作戦が大成功しました。
ベテランが確実なプレーをすることで、プレジデンツカップルーキーたちは安心して大胆にプレーをすることができる。これはアーニー・エルスキャプテンが、まるで戦国武将のように「どうやったらの強い強い米国選抜に勝てるのか」を考え抜いた戦術ですよね。2年前の大会では、最終日シングルス戦が始まるまでにほぼほぼ勝敗が決まってしまっていましたから、世界選抜とすればここまででも大健闘ですけど、やはりキャプテンアーニーは本気で勝ちに来ていると感じます。
今回アーニーの戦術が活きたのは、名匠アリスタ・マッケンジー(イギリスのゴルフ設計技師)が作ったロイヤルメルボルンGCという世界有数の難コースが舞台ということもあると思います。米国選抜は考えすぎてミスしている選手が多い印象です。「傾斜の1ヤード、2ヤードのところに落さないと、でも風がこう吹いているし」とかいろいろ考え出すと、シンプルに打てなくなってきます。設計者のマッケンジーはまさにそうさせるようにコースを作っている訳で、コースに翻弄されているところがありますが、世界選抜の若手たちはシンプルに攻めています。必ず攻略ルートはあるわけで、素直に攻めてダメだったらしょうがないみたいな潔さがいいのかもしれません。
それから、松山英樹選手とC.T.パン(パン・ツェンツェン)選手もすごくいいコンビですよね。ふたりとも若いですから、このままあと5大会くらい世界選抜のエース級コンビとしていけるんじゃないかと。お互い控えめな性格で出しゃばらないけど、闘志は凄いという性格が似ているのかもしれませんね。
これまで深い交流はなかったようですが、同級生で世界アマチュアランキング1位経験者ですし、お互いの存在は知っていたと思いますから、やってみたら「こんなに息が合うんだ」というか、お互いをリスペクトし合ってて、すごく爽やかで見ていて気持ちいいですよね。欧州選抜のモリウッド(モリナリ&フリートウッド)や、米国選抜のスピース&リード、トーマス&スピースのようなスターコンビになってほしいですね。これまで世界選抜ではウーストヘイゼンとブランデン・グレースのコンビが有名でしたが、これからも核となるコンビは必要なので。
PGAツアーが中国やラテンアメリカ、マッケンジーツアー(カナダ)などいろんな国に広がっていることで選手が強くなり、今回も世界選抜は9つの国と地域から選手が選ばれています。ライダーカップも最初は米国と英国の対抗戦だった訳ですが、セベ・バレステロスというスペインのスターが出てきてヨーロッパ選抜となって、それがいまや各国の強豪が揃って米国が勝てなくなってきています。いずれプレジデンツカップでも、ライダーカップのように「アメリカだけじゃ厳しいぞ」となることを期待しています。時代の流れとして、これから世界選抜が強くなっていく雰囲気を感じました。
(写真:Getty Images)
台風の目はアンサーら若手たち・松山&パン組は将来の世界選抜エースコンビへ期待
開幕前はアダム・スコット、マーク・リーシュマン、ルイ・ウーストヘイゼン、松山英樹といった実績十分の選手たちがどう活躍するかというところに注目していましたが、やはりそれだけでは世界選抜としてメンツが足りないんですよね。そのなかで、エイブラハム・アンサー、イム・ソンジェ、アン・ビョンホンといった若手選手たち、プレジデンツカップ初出場で世界ランキングも米国選抜の選手達と比べてそれほど高くない、その選手たちがここまでやるとは思いませんでした。特にアンサー選手は本当に予想していなかったです。ショットも伸び伸びと打っていて、メキシコ出身の明るくいい意味で楽天的なところがよいのではないでしょうか。シンプルにゴルフをしていて、今回台風の目になっています。
若手選手たちの活躍の要因は、スーパーレジェンドであるアーニー・エルスキャプテンが、選手たちに逐一アドバイスをして安心させているとともに、ペアマッチではベテランとルーキーを多く組ませる作戦を取りました。1日目はベテラン同士で鉄板で勝てるチームを作るのかなと思っていたらそこを分けて、ある意味全部のマッチを獲りに来たわけです。それが吉と出るか凶と出るか、仮にベテランが調子悪くて新人が緊張してしまうと全敗もあるなか、タイガー・トーマス組とリーシュマン・ニーマン組ではその雰囲気があったんですが、結果的にはアーニーの作戦が大成功しました。
ベテランが確実なプレーをすることで、プレジデンツカップルーキーたちは安心して大胆にプレーをすることができる。これはアーニー・エルスキャプテンが、まるで戦国武将のように「どうやったらの強い強い米国選抜に勝てるのか」を考え抜いた戦術ですよね。2年前の大会では、最終日シングルス戦が始まるまでにほぼほぼ勝敗が決まってしまっていましたから、世界選抜とすればここまででも大健闘ですけど、やはりキャプテンアーニーは本気で勝ちに来ていると感じます。
今回アーニーの戦術が活きたのは、名匠アリスタ・マッケンジー(イギリスのゴルフ設計技師)が作ったロイヤルメルボルンGCという世界有数の難コースが舞台ということもあると思います。米国選抜は考えすぎてミスしている選手が多い印象です。「傾斜の1ヤード、2ヤードのところに落さないと、でも風がこう吹いているし」とかいろいろ考え出すと、シンプルに打てなくなってきます。設計者のマッケンジーはまさにそうさせるようにコースを作っている訳で、コースに翻弄されているところがありますが、世界選抜の若手たちはシンプルに攻めています。必ず攻略ルートはあるわけで、素直に攻めてダメだったらしょうがないみたいな潔さがいいのかもしれません。
それから、松山英樹選手とC.T.パン(パン・ツェンツェン)選手もすごくいいコンビですよね。ふたりとも若いですから、このままあと5大会くらい世界選抜のエース級コンビとしていけるんじゃないかと。お互い控えめな性格で出しゃばらないけど、闘志は凄いという性格が似ているのかもしれませんね。
これまで深い交流はなかったようですが、同級生で世界アマチュアランキング1位経験者ですし、お互いの存在は知っていたと思いますから、やってみたら「こんなに息が合うんだ」というか、お互いをリスペクトし合ってて、すごく爽やかで見ていて気持ちいいですよね。欧州選抜のモリウッド(モリナリ&フリートウッド)や、米国選抜のスピース&リード、トーマス&スピースのようなスターコンビになってほしいですね。これまで世界選抜ではウーストヘイゼンとブランデン・グレースのコンビが有名でしたが、これからも核となるコンビは必要なので。
PGAツアーが中国やラテンアメリカ、マッケンジーツアー(カナダ)などいろんな国に広がっていることで選手が強くなり、今回も世界選抜は9つの国と地域から選手が選ばれています。ライダーカップも最初は米国と英国の対抗戦だった訳ですが、セベ・バレステロスというスペインのスターが出てきてヨーロッパ選抜となって、それがいまや各国の強豪が揃って米国が勝てなくなってきています。いずれプレジデンツカップでも、ライダーカップのように「アメリカだけじゃ厳しいぞ」となることを期待しています。時代の流れとして、これから世界選抜が強くなっていく雰囲気を感じました。
(写真:Getty Images)
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