ビル・ハース（米）が、父が成し遂げられなかったメジャー制覇の夢に向かって首位発進した。

　ゴルフの“祭典”マスターズは現地時間10日、ジョージア州のオーガスタナショナルGCを舞台に第78回大会の第1ラウンドを行った。6バーディ、2ボギーの4アンダー68でプレーしたハースは、ディフェンディング・チャンピオンのアダム・スコット（豪）、バッバ・ワトソン（米）、ルイス・ウーストハウゼン（南ア）の3人に1打差をつけ単独首位。メジャー大会の舞台で初めて試合を引っ張る立場に立った。

　米チャンピオンズツアーで活躍する父ジェイ・ハース（米）はレギュラーツアー（米男子ツアー）9勝の実績を持つ選手。シニアの舞台ではメジャーと名の付くタイトルを含めて16勝しているが、いわゆるレギュラーツアー時代にはメジャー大会とは縁がなかった。

　息子のビルも米ツアーで5勝を挙げているものの、これまでメジャー大会では今一つ。マスターズは5年連続の出場となるが、過去4回は昨季大会の20位タイが最高だった。だが、この日はロングパットを度々沈めるなど、オーガスタの魔女を味方につけたかのようなプレーぶりを見せており、一気にパトロンたちの注目を浴びた。

　1打差の2位タイでハースを追う面々も連覇を狙うスコットを筆頭に実力者揃いだ。ワトソンは2012年大会王者であり、その大会でワトソンにプレーオフで敗れたウーストハウゼンは全英オープン優勝の経験を持っている。さらに1打差の5位タイには、今季好調のジミー・ウォーカー（米）やブラント・スネデカー（米）、親子出場を果たしたケビン・スタドラー（米）らがピタリと上を見据えている。

　1アンダー71の12位タイには、1992年の大会王者で54歳になった今でもオーガスタナショナルを得意とするフレッド・カプルス（米）やローリー・マキロイ（北アイルランド）、ミゲール・A・ヒメネス（スペイン）ら底力を秘めた男たちと、ジョーダン・スピース（米）、マッテオ・マナセロ（伊）、リッキー・ファウラー（米）といった若き戦士たちが名を連ねている。

　さらに1オーバー73の27位タイには歴代王者の一人、チャール・シュワーツェル（南ア）や、昨季史上初の欧米同時年間王者に輝いたヘンリック・ステンソン（スウェーデン）、マット・クーチャー（米）、リー・ウェストウッド（英）らが控えている。首位から5打差以内に39人がひしめく混戦模様で、2日目以降も気の抜けない戦いが続く。

　一方、優勝候補の一人と言われたジェイソン・デイ（豪）は3オーバー75で53位タイ、大会4勝目を狙うフィル・ミケルソン（米）は4オーバー76で67位タイといずれも出遅れ気味。日本勢で唯一出場している松山英樹は、グリーン上で苦しみ8オーバー80の大叩き。出場97人中90位タイと大きく出遅れている。

　大本命タイガー・ウッズ（米）が欠場した今大会。快晴微風の穏やかなコンディションの下、初日の競技が行われたが、戦いの行方は混とんとしている。日曜日にグリーンジャケットに袖を通して笑うのは果たして誰か。