番組制作スタッフがフロリダから発信するユニークなゴルフ最新情報
2015年3月19日(木)午後1:33
米フロリダ州オーランドより番組制作スタッフが、独自視点でお届けするユニークなゴルフ最新情報!
PGAツアー バレロテキサスオープンでは、前週のアーノルド・パーマーインビテーショナルに次ぐ初優勝チャンピオンが誕生。
その選手は、30歳のスティーブン ボーディッチ。PGAツアー110試合めの優勝でした。
テキサス特有の強風が吹き荒れた最終日、ボーディッチは76と崩れるも マット クーチャーら期待された選手達もどこか精彩を欠き、 ボーディッチが逃げ切り ジェイソン デイ、ジョン センデンに続く今季3人目のオーストラリア人チャンピオンとなりました。
そんなボーディッチは、アダム スコットやジェイソン デイが通ったゴルフの名門校、オーストラリアのクーラルビン・インターナショナルスクール出身。
ジェイソン デイは子供の頃、父親を亡くし 苦労してPGAツアーのチャンピオンになった経歴を持ちますが、ボーディッチのゴルフ人生は文字通り波乱万丈です。
ボーディッチを苦しめたのは重度のうつ病でした。
そのことを5年前の米国版ゴルフダイジェスト誌(米国発行のゴルフ誌のインタビュー)で語っています。
12歳でゴルフを始め、18歳でプロに転向、即ヨーロピアンツアー参戦を試みるも失敗。
多額の借金とともに故郷に戻り、ゴルフをあきらめかけては再度挑戦を繰り返し、2005年予選を突破したクィーンズランド オープンでの優勝がきっかけで、オーストラリア オープン、ジェイコブス クリークオープンとつづけて出場。 ネイションワイド ツアー(今のウェブ・ドットコム・ツアー)と共催だったジェイコブス クリークオープンで優勝。当時21歳。
しかし、この頃から翌年にかけて病気の症状が悪化、アルコールに頼ったボーディッチは、プレーをしている時以外は、ほぼアルコール漬けの毎日。
そして2006年眠れない日が12夜続いたあと、ウィスキーをボトル一本飲み干し、重い服を着込んでプールに飛び込み 溺死を試みます。
幸いにも当時の恋人がプールに浮かぶボーディッチを発見、一命をとりとめました。
抗うつ剤もなかなか合うものが見つからず症状が悪化したり、改善されたかと思えば、“怒り”や“喜び”など失ったすべての感情の中で最初に戻ってきたものが“怒り”だったなど、 病気との壮絶な闘いを明かしています。
セラピーと治療を重ね、愛する人達に支えられ今一番幸せな人生を過ごしているというボーディッチは、優勝記者会見で病気のことを聞かれ、「一生克服することはできないと思う。日々対処しながら自分について学び、前進あるのみ」と話していました。
人の良い素朴なオーストラリア人、そんな印象を与えるボーディッチは、病気に苦しんだ当時そのことを公にしなかったため、失格や棄権が続いた時、事情を知らない メディアに中傷され傷ついたそうです。言葉は人の心を温められるものである一方で深い傷を残す怖さも持っています。
傷口が癒え、時には跡さえ残らない外傷とは違い、心の傷はなかなか消えません。
ボーディッチの過去を思う時、事情を把握していない時は冗談半分でもうかつなことを言ってはいけないと自分を戒めました。
さて今週は、いよいよマスターズへの最後の切符がかかったシェル・ヒューストン・オープン。
石川遼選手を始め、優勝でその切符を手にしようと狙うツアープロによる熾烈な戦いが期待されます。
3月27日に米国へと旅立った松山英樹選手と一緒に大好きなオーガスタ・ナショナルに立ち、来週日本のファンを早起きさせるためにも連戦の疲れを若さで吹き飛ばしなんとか最後の踏ん張りを見せてほしい、そう願ってやみません。
石川遼参戦!「シェルヒューストン オープン」放送日時
1日目:4月4日(金) 午前4:00?7:00
2日目:4月5日(土)午前4:00?7:00
3日目:4月6日(日)午前4:00?7:00
最終日:4月7日(月)午前4:00?7:00
筆者:Makiko Minoya
1995年 州立セントラルフロリダ大学 ジャーナリズム科卒業
1996年 ゴルフチャンネル入社(米フロリダ州オーランド)
好きなゴルファー:タケ小山プロ
[画像は全て©Getty Images]